HDMIおよびDisplayPortのトランスミッタなど、デジタルマルチメディア・インタフェース・ソリューションの設計を手がけるファブレスメーカーのAnalogix Semiconductor。同社は2009年6月24日に、2009年5月末に発表した"DisplayPortをHDMI/DVIに変換"できる「ANX9830」、同じく"DisplayPortをVGAに変換"できる「ANX9832」、そして"超"低消費電力で動作するHDMIトランスミッタ「Cool HD」製品の第1世代となる「ANX7150」の3製品の出荷をアナウンスした。
同社のCo-founderであり、現在Chairman and CEOとして同社を率いるKewei Yang氏に話を聞く機会があったので、同社がどのような戦略を立てているのかをお伝えしたい。
HDMIとDisplayPortに注力
そもそもAnalogixとはどういった会社なのか、良く知らない読者の方のために簡単に説明しておくと、設立は2002年と若く、2004年頃までは通信向けICなどの設計を手がけていた。しかし、2005年にHDMIの送受信機を発表、ATI(現AMD)にライセンスを供給するなど、HDMIへの本格参入を果たした。その後、2006年にDisplayPortトランスミッタを発表し、今日までHDMIとDisplayPort両方のラインナップを拡充しており、「HDMIとDisplayPortの両方の製品をラインナップとして取り揃えているのがAnalogixの強みと語る」とYang氏は胸を張る。
HDMIもDisplayPortも今さら説明は不要かも知れないが、簡単に述べておくと、複雑なAV機器の配線を1本でまとめてくれるのがHDMIであり、PCとモニタの接続をVGAやDVIに代わって行うのがDisplayPortということとなる。
また、DisplayPortについては、「トランスミッタ製品を考えると、PCのみならず、携帯電話やハンディカムコーダ、コンシューマゲーム、携帯ゲームなど幅広い分野での適用が考えられる」(同)とし、DVIで6年程度、HDMIで4年程度かかった1億セットへの適用が2年程度で到達することが見込まれている。
"超"低消費電力を実現したHDMI製品
同社が6月24日より出荷を開始した製品の中で、Cool HDという名のHDMIトランスミッタ「ANX7150」があるが、どのくらい低消費電力かというと、「480p/480i/720p/720i/1080iモード時で、1mW未満の消費電力で動作することが可能」(同)ということである。競合の既存HDMIトランスミッタの消費電力はだいたい50~100mW程度だとのことなので、いかにその消費電力が抑えられているかが御理解いただけるだろう。
どのようにしてこの低消費電力を実現しているかといえば、プロセスとしては「180nmプロセスを用いている」(同)であり、アーキテクチャとしてアナログ回路部分に手を加えることで実現したとしている。
同製品は、主に携帯機器向けに適用を進めていくとしており、「年度末には第2世代品として1080pモード時にも1mW以下のシステム消費電力を実現する『ANX7250』を登場させる計画」としており、これにより高解像度を実現しながらバッテリ寿命の延命、冷却装置の小型化などが実現できるようになる。