阿部寛らが出演する、Bunkamura20周年記念特別企画となる舞台『コースト・オブ・ユートピア - ユートピアの岸へ』の製作発表が25日、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンにて行われた。
同作は、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』や『恋におちたシェイクスピア』で知られる劇作家、トム・ストッパードによる登場人物70名超、三部通しての上演時間は9時間という超大作。2002年にロンドンで初演、2006年にニューヨークで上演され、2007年にはトニー賞最優秀作品賞など7冠に輝いた歴史叙事詩だ。
19世紀ロシアを舞台とし、激動の時代の中で農奴制による封建制度撤廃に向け革命を志すロシアの思想家に阿部寛、勝村政信らが紛し、女優陣も、紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯、佐藤江梨子、水野美紀、栗山千明、とよた真帆、麻実れいら実力派が揃う。
演出を手がけるのはシアターコクーン芸術監督を務める蜷川幸雄。同じく上演時間9時間におよぶギリシャ悲劇三部作『グリークス』を手がけた経験をもつ蜷川は、冒頭の挨拶で「この芝居ほどキャスティングに難航した舞台はない」と話し、「今回ここに揃った俳優たちはとても知的な試みに賛同してくれた方々です」と会場に集まった俳優陣を讃えた。
そんな蜷川の想いに応え、思想家・ゲルツェンを演じる阿部が、「今回は台本を見て気絶しましたが、精一杯演じたい」と力強く意気込みを語るも、次に挨拶した勝村は「僕は台本を持って手首を痛めました(笑)。カバンに入れるのも大変です」と9時間分のストーリーが詰まった台本を見せ、笑わせていた。
蜷川作品2回目となる栗山は「本番までに不安をどこまで取り除けるか」と謙虚に。イエローのドレスでひときわ目立っていた |
「蜷川の舞台は長いとよく言われますが、そんな人は終電に乗り遅れればいい(笑)」と笑顔を見せる蜷川 |
また、初めて蜷川作品に挑む佐藤が、「蜷川作品に出るって周りに話したら、みんなに『脱ぐの?』って言われて(笑)」と自虐的に話し、「脱ぐかどうかはお楽しみに」としながらも「キスシーンはあるんです!」と宣言。「誰とやるのか気になっていたら、いちばん嫌な人でした(笑)」と笑う佐藤に、相手役となる勝村が立ち上がってツッコミを入れる一幕もあった。
今回、同作のために書店でロシア関連資料を買いあさっているという蜷川。公演前には「ロシアも行ってこようかな」と話すなど、9年ぶりとなる超大作にやる気満々といった様子だった。
『コースト・オブ・ユートピア - ユートピアの岸へ』は、9月12日~10月4日の期間でBunkamuraシアターコクーンにて上演される。詳細はこちら。