6コアCPUの出荷を開始したAMD

一方のAdvanced Micro Devices(AMD)が提供するのは「Opteron」であるが、2009年前半は2008年11月13日に発表した第4世代Opteronとなる45nmプロセス採用のクアッドコアCPU「Shanghai(開発コードネーム)」の提供が行われてきた。

Shanghaiは、従来のBarcelonaに比べ、L3キャッシュ容量を2MBから6MBへ向上させたこと、HyperTransportのバージョンを3.0に引き上げたこと、DDR2-800に対応したこと、RVIの強化による仮想化機能の高速化などにより、同クロックで20%程度の性能向上を実現している。

また、AMDは同6月1日に、開発を進めてきていた次世代Opteronとして6コアCPU「Istanbul(開発コードネーム)の提供を発表、サーバ向けCPUの強化を図った。元々、Istanbulは2009年第3四半期に出荷開始を計画していたが、立ち上がりが順調に進んだこともあり予定が前倒しされたもの。「SocketF」対応のCPUであり、Shanghai、Barcelonaと互換性を持たせてあり、BIOSの更新だけで、旧来のマザーボードに挿し、動作させることが可能だとしている。

「Istanbul」のダイ写真

同じ熱設計枠で性能を向上させることが可能となる

さらに、2/4/8プロセッサの構成に対応した"Direct Connect Architecture"をサポートしたほか、Hyper Transport(HT)Assistを追加、Shanghai世代の4コアOpteronと比較して、1ソケットあたり電力あたりのパフォーマンス(PPW)は最大34%の向上が見込めるという。

このため、AMDでは、2003年にリリースしたシングルコアOpteronを314個搭載したシステムと同じパフォーマンスを、Istanbulでは21個搭載するだけで達成できるとしており、消費電力を95%削減できるとする。

また、Opteron向けにAMDでは2009年下期に、新チップセットと組み合わせたプラットフォーム「Fiorano(開発コードネーム)」の提供を計画している。これは、チップセット「SR5690」「SP5100」と現在のOpteronを組み合わせたもので、チップセットによるIOMMUのサポートや、HT 3.0によるPCI-Express 2.0などのサポートなどが予定されている。

2010年には12コア対応世代のOpteronが登場

しかし、AMDのサーバ向け戦略は2010年に一変することが計画されている。次世代Opteronとしては、8/12コア対応CPU「Magny-Cours(開発コードネーム)」と4/6コア対応CPU「Lisbon(開発コードネーム)」が予定されているが、早ければ2010年第1四半期に登場することが見込まれている。Magny-Cours、Lisbonともにソケット形状がSocketFからそれぞれ「Socket G34」「Socket C32」に変更される。Magny-Coursには、"Direct Connect Architecture 2.0"が採用され、Shanghaiと比べ2倍のメモリチャネル、3.3倍のメモリ速度、2.2倍のキャッシュメモリなどが実現されるとしている。

AMDのサーバ向けロードマップ(SocketG34向けが「Opteron 6000シリーズ」、SocketC32向けが「Opteron 4000シリーズ」となる)

Magny-Cours、Interlagosと1年ごとに新たなCPUが登場してくる予定

このタイミングで同社は2010年以降のプラットフォームのロードマップを、これまでのプロセッサ数によるシリーズ分けから、パフォーマンス重視の「Performance/Expandability」向けの製品と、クラウド環境を中心としたスケールアウトを想定した「Power Efficiency/Value」向け製品の2つに分けることをすでにアナウンスしている。

プラットフォームのロードマップが2010年より変更され、SKUも各9つに絞られることとなる

また、2011年には次々世代Opteronの登場も計画されている。32nmプロセスを採用した12/16コア「Interlagos(開発コードネーム)」と6/8コア「Valencia(開発コードネーム)」の2種類が計画されており、新アーキテクチャ「Bulldozer(開発コードネーム)」が採用される。Socket形状はG34およびC32が引き継がれる予定。