イー・モバイルは18日、下り通信速度最大21.6Mbpsとなる「HSPA+」に対応したUSBスティック型の通信端末「D31HW」を8月上旬から発売すると発表した。発表にあわせて会見を行った阿部基成副社長は、「(業界で)最速・最安を目指していく」と意気込む。
HSPA+は、W-CDMAの高速化規格で、従来のHSDPA/HSUPAをさらに高速化したもの。下り通信速度は最大で21.6Mbps、上り通信速度は最大11.5Mbpsに達する。今回イー・モバイルでは、「21メガサービス」として下りにHSPA+を導入し、通信速度を増速化した。
現行の3.5Gと呼ばれる携帯電話サービスでは、他社が7.2MbpsのHSDPAを利用しているが、21メガサービスではこれを一気に引き離し、本サービスが迫るUQコミュニケーションズのモバイルWiMAXサービス、ウィルコムの次世代PHS「WILLCOM CORE XGP」サービスに対抗する。
同社が実環境で行った実験では、11~15Mbps程度の通信速度が出ており、HSDPAが「電波のいいところで4~5Mbps、普段は2~3Mbps」(阿部副社長)だったので、大幅な速度向上が見込めるという。
HSPA+導入に際しての基地局の改修も最小限ですむため、同社では年内にもHSPA+の人口カバー率を60%以上にする。60%という数字も「控えめ」(同)な数字とのことで、なるべく早く提供エリアを拡大していきたい考えだ。
HSPA+と同時に、同社では料金プランとして「スーパーライトデータプラン21」を導入。2年契約にすることで、月額基本料の下限を580円に下げ、同クラスの通信サービスでは最安を実現する。
既存のサービスエリアも拡大を続け、東名阪の地下駅に関しては今年度中に100%カバーする計画だ。また、ユーザー数の多い大都市圏などでは、通信速度が十分に確保できない状況になっており、阿部副社長もこの状況は認識している。阿部副社長は、順次基地局の増設、屋内基地局の設置など、問題の改善にも注力していく意向を示している。今後は、「数百ギガの通信を行うようなユーザー」(同)通信規制を導入する考えだ。
同社は総務省から、次世代通信用に新しい周波数を割り当てられたが、この周波数を利用して通信インフラの拡充も図っていく方針で、さらに今後、40Mbpsクラスの通信速度を実現する「DC-HSDPA」を10年9月から開始、その後LTEを開始する予定だ。「グローバルスタンダードになるものを最短で日本に持ち込む」(同)というのが同社のポリシーで、DC-HSDPAも端末とインフラをそろえた状態でのサービス開始は世界最速を狙う意向。
「これまではなんちゃってブロードバンドだったかもしれない」と阿部副社長。それに対して今回は、実環境で10Mbps以上の通信速度が達成できたことを強調する。さらに、料金プランが明らかになっているUQのモバイルWiMAXに対しては、使わないときは580円と安い2段階定額制が選択できることで、「十分競争力がある」(同)との認識だ。
また阿部副社長は、これまではイー・モバイルやウィルコムが先導してきたモバイル通信市場において、UQの参入などによって市場がさらに活性化することで、結果的には同社にもプラスの影響があるとの考えを示している。