Opera Unite、ビジネスシーンでの活用シナリオ
今提供されているOpera Uniteのサービスだけでもいろいろな使い方ができる。とくにファイル共有機能は便利だ。たとえばこんなシナリオが考えられる --- 仕事のデータを相手に送信する必要があったとしても、添付ファイルが一定のサイズを越えると、相手のメールサーバがそれを受け取ってくれないことがある。この場合、なにか別の方法でデータを相手に送る必要がある。
ファイル共有サービスを使ったり、自分の管理しているWebサーバやFTPサーバにアップして、相手にダウンロードしてもらうというのはよくやる方法だ。最近ではメッセンジャー経由でファイルを送ることも多いだろう。Opera Uniteであれば自分のPCをサーバとして使えるので、相手が渡したいファイルを設定したフォルダにコピーして、あとはPublicならファイル共有URLを渡しておけばいいし、Limitedならパスワード付きのURLを送ればいい。
重要なのはここでサーバは必要ないということだ。Operaがあればいい。しかもファイルは自分の手元にあるため、簡単に管理できる。あくまで主体を自分に、そして自分のPCに置きながら、Webサーバとしての利便性も享受できるという仕組みになっている。自分のPCが起動していなければそうしたデータにはアクセスもできない。共有ファイルはOpera Softwareのサーバにあるのではなく、あくまでもOpera Uniteが動作しているPCそのものだからだ。
たとえば出先作業だが特定のデータにはアクセスしたい、という場合には、Privateモードにすればいい。Privateモードでは外部からは普通にはアクセスできず、Operaからunite:プロトコルを指定してアクセスした場合にだけ接続できる。ファイルを複数のPCにコピーして分散させるとなにかと管理が面倒だ。1台のPCにOpera Uniteをインストールして動作させておけば、外部から自分のデータにアクセスできる。手軽で便利な方法だ。この場合でもデータはあくまでも自分のPCにあるというのがポイントとなる。Operaはクライアントでありながら、サーバとしても機能するわけだ。
カッティングエッジヘッドランナーとしてのOperaがふたたび
Opera 10からは、OperaをWebブラウザとみなすというよりは、簡単にインストールできる自分のWebだと思ったほうがいいかもしれない。今後さらにサービスが増える予定になっており、Opera Uniteでどういったことができるのか、どういった使われ方をされるのかは、今後のユーザの想像力しだいということになるだろう。ファイル共有のためにOpera 10をインストールする、というのはもっともありそうな話のようにおもえる。
もともとOpera Softwareは、ほかのブラウザに先んじて最新の機能をWebブラウザに投入することでPCユーザに愛されてきた。そのピーキーさに取り付かれたOperaユーザは少なくない。しかしここ数年、Google Chromeの登場もあるが、Operaの新機能はパッとしないものが多かった。高速JavaScriptエンジンの開発でも遅れをとるなど、Opera Softwareらしからぬ状況が続いていた。
日々使うアプリケーションのWebアプリケーション化が進み、デスクトップアプリケーションとしての面白みは徐々に消えつつあるような状況だ。しかし今回登場したOpera Uniteは、ひさしぶりにデスクトップアプリケーションそのものがおもしろいと感じさせるものに仕上がっているし、それでいてWebの便利さもいかんなく発揮している。ふたたびあのピーキーなカッティングエッジOperaが戻ってきた。