(左から)水木一郎、堀江美都子、串田アキラ

6月16日、東京・銀座にて堀江美都子と串田アキラの歌手生活40周年を記念するミニライブが開催された。今回のイベントは、3月にリリースされたCD「みんなアニメが好きだった」などの購入者を対象としたインストアライブで、会場には100人を超えるファンが集まった。

ステージに登場した堀江美都子と串田アキラに大きな歓声が上がる。観客の大半が"大人"ということで、子ども向けのイベントで歌うことが多い2人だけに、いつもとは少々勝手が違う感じ。2人は、デビュー当時から現在までの40年の歴史を振り返る。堀江のデビューは『紅三四郎』の主題歌。当時まだ小学生だった堀江は、「何もわからずに歌ったら、ある日突然テレビから流れてきた」とのことで、「テレビの前で正座して聴いていました(笑)」。

ステージに堀江美都子と串田アキラが登場

一方の串田アキラは、ポップス歌手としてスタートし、アニメ(特撮)ソングでは『太陽戦隊サンバルカン』の主題歌が最初。当時はバンドも並行してやっていたため、非常に厳しいスケジュールだったと語るが、「僕は歌えば歌うほど声に艶が出てくるんですよ。なので、短時間でレコーディングをするとおじいさんみたいな声になる」といった裏話を披露してくれた。

「この40年間で、アニメソングを取り巻く環境は大きく変わった」と語る堀江。最初の頃はステージで歌うことはほとんどなく、屋外がメインで、ひどい場合は、ビールケースの上で歌ったこともあると回想する。この40年間でびっくりしたこととして、歌うときのマイクが「バスガイドさんが使うようなものや、ときには拡声器で歌うこともあった」(堀江)。ちなみに堀江がこれまで積み重ねてきた楽曲はおよそ1,200曲に達するが、「うちの事務所が全然更新しないので、ホームページでは900曲のままなんですよ」と少々不満の様子。

サンバルカンを歌っていたころの串田がアフロヘアだったという話題になり、「私が歌い始めたころは厳しくて、パーマひとつ許されなかった」と語る堀江。「キャンディ・キャンディ」を歌っているころ、ソバージュをかけたら怒られて一日で戻させられたとのことで、「男の人とのデートなんてもってのほか、服装も明るい色だけで、黒なんて絶対にダメだった」と話すと、当日黒の衣装に身を包んでいた串田は、「僕は、一部を除いてすごい自由でした」と笑顔。そのほかにもさまざまな40年間のエピソードが2人の口から面白おかしく披露され、観客を大いに楽しませてくれた。

スペシャルゲストとしてアニキがステージに!

ここでスペシャルゲストとして、昨年40周年を迎えた"アニキ"こと水木一郎がステージに登場。「昨年は自分の40周年をみんなに祝ってもらったので、今年は堀江さんと串田さんを応援していこうと思っています」と応援団を買って出る。40周年の先輩としては、「40周年が終わり、41周年目の今年は楽しんで仕事をしているので、(2人も)今年は頑張って来年を楽しみに」という、何ともアニキらしいアドバイスを贈る。水木はまだまだ喋り足らないといいながら、ステージにて代表曲ともいえる「マジンガーZ」を披露。会場の温度、そして観客の体温を一気にヒートアップさせる。

「マジンガーZ」を熱唱するアニキに会場も一気にヒートアップ

水木の歌に続いては、串田と堀江によるミニライブコーナー。串田は「炎のキン肉マン」「ジライヤ」「機動刑事ジバン」「星空のメッセージ」「宇宙刑事ギャバン」「キン肉マン Go Fight!」の6曲、続く堀江美都子は、「花の子ルンルン」「ひみつのアッコちゃん」「キャンディキャンディ」「心のうた」「笑顔のループ」の5曲といった、新旧の代表曲を織り交ぜてのステージを披露。2人は、いつまでも変わらぬ、パワフルかつ美しい歌声で観客を魅了し、最後まで大盛り上がりのまま、トークに歌にと盛り沢山のイベントは終了した。

パワフルなステージを披露する串田アキラ。「よろしく勇気!」「蒸着」などのシャウトで会場をわかせる

堀江は、定番ともいえる大ヒット曲に加えて、15歳のころに歌った「心のうた」から新曲「笑顔のループ」まで、幅広いレパートリーを披露

M-01 マジンガーZ 『マジンガーZ』OP 水木一郎
M-02 炎のキン肉マン 『キン肉マン』OP 串田アキラ
M-03 ジライヤ 『世界忍者戦ジライヤ』OP 串田アキラ
M-04 機動刑事ジバン 『機動刑事ジバン』OP 串田アキラ
M-05 星空のメッセージ 『宇宙刑事ギャバン』ED 串田アキラ
M-06 宇宙刑事ギャバン 『宇宙刑事ギャバン』OP 串田アキラ
M-07 キン肉マン Go Fight! 『キン肉マン』OP 串田アキラ
M-08 花の子ルンルン 『花の子ルンルン』OP 堀江美都子
M-09 ひみつのアッコちゃん 『ひみつのアッコちゃん』OP 堀江美都子
M-10 キャンディ・キャンディ 『キャンディ・キャンディ』OP 堀江美都子
M-11 心のうた 『さすらいの太陽』ED 堀江美都子
M-12 笑顔のループ 『ジュエルペット』ED 堀江美都子


ファンへのメッセージ

ここではイベント終了後に語られた出演者3人のメッセージを紹介しておこう。

水木一郎「この40年間やってきて一番うれしいことは、アニソンが日本の文化として世界的にこれだけ認知されたということで、アニソンもここまで来たんだなということをすごく実感しています。アニソンに限らず、自分の歌った歌を、できるだけ多くの人に聴いてもらいたい、多くの人に知ってもらいたいというのは、歌手なら誰しもが思うことです。それが40年間やってきて、本当にそういう風になってきたなと思っていますし、今や世界のどこへ行っても、日本語のアニソンをそのままの日本語で歌えるということは、歌手として最高にうれしいことです。本当に180度時代が変わって来たと思いますし、すごくアニソンに感謝しています。これからもずっと歌い続けていきたいと思います」


串田アキラ「40周年を迎えるのは当然初めてなのですが(笑)、40周年というと、これが人生なんだなと思うぐらい長いのですが、本当に自分が好きなことをやってきたので、すごく短く感じています。最初のころは、『もうやめたい』と思ったこともありましたが、振り返ってみると、それがすごくいい勉強になっていて、今多くの人に聴いてもらえるようになったことはすごく幸せなことですね。そして何より、ただ僕が歌うだけではなく、みんなが同じ歌詞を一緒に歌ってくれる、二十数年前の曲でも一緒になって歌ってくれるということが最高に幸せなことだと思っています。それがあるから、これからもまだまだ歌い続けていけるし、生きている限り、歌っていきたいと思います」


堀江美都子「私は本当に小さいときに歌いはじめたので、自分の意思というよりも周りの大人の方たちに育てられながら、歌手として一人前にしていただいたという感じですね。ほとんど学校で勉強することよりも、コロムビアの中で学んできたことのほうがすごく多かったなと思っています。今日もそうでしたが、たぶん当時イベントなどを観に来てくださった方が、大人になって、お父さん、お母さんになって、お子さんを連れてきてくれる。そして、おばあちゃんやおじいちゃんも来てくれる。世代を超えて繋がっていける歌を自分が歌っていると感じたとき、すごく幸せだなあと思いました。8月に出る『40周年記念BOX』のために、自分のオリジナルを聴きなおしたり、過去のコンサートビデオなどを観たりしたのですが、『本当によくやってきたね』って愛おしく思いました。そのころは若かったし、嫌だったこともありますし、わがままをいったり、いろいろなことがありましたが、今それらすべてを観てみると、精一杯頑張っていた自分がいたなって思えるんですね。それを今、世界中の人が受け止めてくれて、どこへいっても愛される歌になっているというのが本当に幸せなことだと思っています」



40周年を迎えてもますます盛んな堀江美都子と串田アキラ。すでに両者の40周年記念アルバムがコロムビアミュージックエンタテインメントよりリリースされているが、堀江のコメントにもあるとおり、8月5日には、堀江の40周年記念盤第2弾となるCD12枚+DVD1枚という豪華記念BOX「40th Anniversary BOX 歌のあゆみ」が1,000セット限定でリリースされる。また、10月17日には串田が、11月15日には堀江が、それぞれ40周年記念ライブを開催する予定となっているので、そちらも注目しておきたい。

3月4日にリリースされた堀江の「MITSUKO HORIE 40th ANNIVERSARY BEST」(左)と5月20日にリリースされた串田の「夢中者」(右)。いずれも40周年記念ベストとして数多くの名曲が収録されている