Hyper-Vの新機能については、「集積率向上によるコスト削減」、「タイナミックIT実現に向けて」、「プロセッサやネットワーク系の新機能」の3つの観点で説明が行われた。

集積率向上では、サポートする論理プロセッサ数が24から64に拡張されたほか、利用可能な仮想マシンの数が192から384に拡張されている。高添氏は「サーバを仮想するのであれば384もいらないかもしれないが、クライアントの仮想化ではこの数字が生きてくる」と語った。

利用可能な仮想マシンや仮想プロセッサの拡張

ライブマイグレーションのサポート

タイナミックITの実現では、今回の2008 R2の目玉ともいえる、ライブマイグレーション機能を解説。この機能はVMwareのvMotionと同様のもので、仮想マシンを稼働したまま他の物理マシンに移動させる機能で、サーバのメンテナンスの際に重宝する機能だ。

2008 R2では、ライブマイグレーション機能をサポート

ライブマイグレーションでは、仮想マシン用のVHDファイルをSANやiSCSIで接続された共用ディスク上に配置する必要があるが、これまでは仮想マシンごとに論理ボリュームを分ける必要があったが、2008 R2からは、クラスタ共有ボリュームがサポートされ、1つの論理ボリューム内に複数のVHDファイルを複数配置できるようになる。これにより、仮想マシンを増やすたびに論理ボリュームを追加するという運用上の煩わしさが軽減されるという。

クラスタ共有ボリュームをサポート

また、これまでのマイグレーションは、同一CPUのマシンどうしでしか行えなかったが、2008 R2では、仮想マシンのプロパティに「プロセッサバージョンが異なる物理コンピュータへ移行する」というチェックボックスが新たに追加され、異なるCPU間でも行えるようになるという。ただし、AMDとIntelなど、メーカーが異なる場合はできないという。

異なるCPU間でもマイグレーションが可能に

パフォーマンス面では、仮想ディスクの書き込み速度の改善も図られているという。これまでは、容量の拡張が行える可変長のVHDファイルについては、レスポンスで容量固定の固定長に比べ劣っていたが、2008 R2では固定長とほぼ同等のレスポンスが得られるよう改善されたという。

仮想マシンへの書き込みパフォーマンスの改善

仮想ディスクアクセスのベンチマークの値。左がWindows Server 2008、右が2008 R2