横浜港開港150周年となる本年、「開国博Y150」プロジェクトが始動した。横浜エリアだけにとどまらず、市民も一緒になってこのプロジェクトを盛り上げようと、様々なイベントが企画されている。そんななか、「開国博」で繰り広げられるイベントのひとつ「横濱地図博覧会2009」に、老舗地図メーカーであるゼンリンが協賛した。
第1回目となる「伊能大図と今横浜」では、巨大な「完全復元伊能大図」(1/36000)の上で、伊能忠敬が歩いた近世の日本を体感する「伊能忠敬 体験ゾーン」と現在の横浜の"マップ"を体験する「今 横浜 体験ゾーン」の2つが展示された。
Google Mapsをはじめ"現代の地図"の計測には、飛行機や衛星、デジタルカメラなどを駆使するのが当然の時代である。伊能忠敬はこれらの器具の無い江戸時代、隠居後の49歳に当初は個人事業として地図の計測に乗り出している。彼が作成した伊能大図は国土地理院のWebサイトにて一覧することもできる。
インターネットの普及にともない、誰でも簡単に地図をみることができるような世の中になったわけだが、このような先人達の功績に敬意を払うとともに、筆者が思いを馳せるのは伊能は、この計測中に多大な苦労もあっただろうが、楽しむ部分もあったのではないだろうかと。日本中のすべてを目に焼き付けたいと。平面で見る地図は、単なる"情報"でしかないが実際に外に出てその"景色"や"匂い"、"人々の表情"を見ることは平面では表現できない"情報"である。今回協賛を行うゼンリンをはじめ、ローカルで動かすことができる市販の地図ソフトには、高精細な地図に自分だけの釣りのポイントや自分だけのサイクリングのルートなどオリジナルの情報を入力したり、災害時の非難マップを作成したり、GPSで移動歴を記録したりと屋外へ出て"現代の伊能忠敬"を体験できるわけだ。
今回のイベントについては「市民みんなで横濱港開港150周年を盛り上げよう!」という熱意に、ゼンリンとしても何らかの形で協力したい」とのことから、スタートしたのだという。「横濱地図博覧会2009」でゼンリンが提供したコンテンツは、横浜中心部の1/500スケールの超巨大フロアマップや、1998年当時の地図と2009年現在の地図を比較することができる地図情報経年閲覧システム、そして、ハイクオリティな横浜市のリアル3Dマップソフトの展示。来場者たちは、足下に広がる巨大な地図の迫力に圧倒されていた。地図情報経年閲覧システムや横浜市のリアル3Dマップソフトは、ちびっ子たちに大人気。器用にマウスを操作しながらリアル3Dマップを閲覧していた姿が印象的だった。
ゼンリンは今後もこのような地域や社会と密着した活動を通じて、「信用される企業市民」として貢献していくという。地図というコンテンツの新たな活用方法や、現在開発中という高低差を再現した精緻且つ精密な地図が持つ将来性に期待したい。第2回目となる「横濱地図博覧会2009 vol.2」のテーマは「150年の地図ものがたり」。9月22日から25日の間横浜赤レンガ倉庫で開催される。