アップルは、9日(米国時間)に米サンフランシスコで開催したWWDC(Worldwide Developers Conference) 2009において発表した、新たなMacBook Proシリーズに関して、日本国内で報道関係者を対象に説明会を開いた。
新MacBook Proシリーズは、従来の15インチおよび17インチの液晶ディスプレイ搭載モデルに加えて、新たに13インチモデルを投入。全モデルとも、1枚板から削り出したアルミニウムユニボディを採用。さらに、内蔵型のリチウムポリマーバッテリーを搭載し、薄さと軽さはそのままに最長で7時間のバッテリー駆動時間を実現しているのが特徴だ。
また、13インチモデルと、15インチモデルにはSDメモリカードスロットを搭載。17インチモデルでは、ExpressCardスロットを搭載している。とくに、カードリーダーを不要にして、SDのデータを読み込める、SDカードスロットの搭載はデジカメユーザーにとっても心強いものだといえる。
アップルでも、汎用的に広く使用されているSDカードスロットを搭載することで、静止画、動画を含めたデジタルデータのハンドリングが容易になると説明している。一方で、FireWire 800についても、ユーザーからの要望が高かっため、今回の製品では改めて搭載しているという。
今回の新MacBook Proのなかでも注目されるのが13インチ液晶搭載モデルであろう。同社では、MacBookシリーズの中で、13インチ液晶を搭載したアルミニウムユニボディ採用の製品を用意していたが、今回のモデルチェンジで同モデルを取りやめる一方、機能を強化しながらMacBook Proとして再定義した格好だ。価格も134,800円からという設定としており、MacBook Proが購入しやすい価格帯に一気に降りてきたというわけだ。
アップルでは、今回の13インチのMacBook Proの価格設定を戦略的なものにしたことを明かす。日本では、15万円を切る価格設定を前提とし、プロフェッショナルに対応できるパフォーマンスを持ちながら価格面でも魅力的なものを用意することを目指したという。つまり、プロフェッショナルが使えて、一般ユーザーが使えるという位置づけを狙ったものだ。
事実、市場ターゲットは欲張りである。既存のMacBookがカバーしていた利用層の獲得に加えて、MacBook Proを活用しているユーザーでも、13インチサイズという可搬性の高さを考慮して持ち運びなどに利用したいとするユーザーの獲得、そして、価格とパフォーマンスのバランスの高さを背景に、Windowsユーザーの乗り換えを想定するといった具合だ。
これまでの市場での販売実績を見ても、アップルのノート製品のうち、約6割が13インチ液晶搭載モデルとなっており、今回のMacBook Proシリーズへの13インチ液晶搭載モデルの追加で、さらに13インチモデルの構成比が高まる可能性があるだろう。
モビリティの利用が想定できる13インチ、15インチ版に関しては、先にも触れたように、内蔵型のバッテリーを搭載し、一回の充電で、従来製品に比べて40%増となる、最長7時間の利用が可能になる。これは、Adaptive Charging技術と先端化学技術を融合することにより実現したもので、しかも、初期容量の80%に達するまで最大1000回の充電を可能にし、バッテリーの製品寿命を従来製品の約3倍にまで伸ばすことができる。
アップルでは、5年間の寿命があり、次の製品の買い換えまでバッテリーを交換する必要がなく、劣化バッテリーを少なくして廃棄物削減に貢献することができるとしている。また、同バッテリーの搭載によって、本体の厚みや重さが増えたり、価格が上がったということは一切ないと説明する。
ディスプレイについては、LEDバックライトを搭載、視野角は水平方向でで140度、垂直方向で120度という広さを実現。コントラスト比は700:1、色域は従来製品に比べて60%拡大しているという。また、最大500GBのHDD、最大256GBのSSDを選択することが可能。拡張性を高めているのも今回の新MacBook Proの特徴といえる。
全モデルに共通しているのは、米国環境保護庁で策定しているEPEAT GOLDに認定されているとともに、Enetgy Star 5.0に準拠。環境へ配慮した製品となっている点だ。とくに、EPEATの最上位となるGOLDへの認定は、ノートPCでは限れた機種となっているだけに、その価値は大きいといえよう。
価格設定も魅力的である。13インチモデルは、Intel Core 2 Duo 2.26GHz、NVIDIA GeForce 9400Mチップセット、2GBメモリ、160GB HDD、8倍速スロットローディング型SuperDriveを搭載したモデルの価格が134,800円。
15型モデルは、Intel Core 2 Duo 2.53GHz、NVIDIA GeForce 9400Mチップセット、4GBメモリ、250GB HDD、8倍速スロットローディング型SuperDriveを搭載したモデルの価格が188,900円。
17型インチモデルは、Intel Core 2 Duo 2.8GHz、NVIDIA GeForce 9400Mチップセット、NVIDIA GeForce 9600M GT GPU、4GBメモリ、500GB HDD、8倍速スロットローディング型SuperDriveを搭載したモデルが278,800円。
従来のMacBook Proの15インチが22万円台から、また17インチが31万円台からであったことに比較すると、いずれも約4万円安い価格が設定されている。これも購入しやすいところに下がってきたという点で評価したい。
なお、MacBook Airを刷新したほか、MacBookはホワイトカラーを施した樹脂による筐体のモデルが継続的に販売されることになる。MacBook Airは、Intel Core 2 Duo 1.86GHz、120GB HDDを搭載したモデルで価格は168,800円。Intel Core 2 Duo 2.13GHz、128GB SSDを搭載したモデルで198,800円となっている。