BCNは10日、全国の大手家電販売店から収集した実売データを集計する「BCNランキング」にもとづいた、デジタル家電の夏ボーナス商戦の分析結果を発表。BCNアナリストである道越一郎氏が、エコポイント導入による薄型テレビの動向について語った。

薄型テレビの伸びは「北京オリンピック需要」を上回る

エコポイント対象製品となる薄型テレビでは、「台数は昨年の北京オリンピック需要を上回る勢いがあり、金額では昨年並み程度となりそうだ」と語るBCNアナリスト道越一郎氏

まず、道越氏は「今年の夏ボーナス商戦は、プラスとマイナスの要因が入り乱れる」と指摘。マイナス要因としては、戦後最低のGDP水準の個人消費への影響、夏のボーナスの削減、製品の成熟が進んだことによる「買い替え・買い増し」への消費者説得の難しさなどを挙げた。

また、「エコポイント」導入、地デジ化による買い替え需要などをプラス要因とし、「エコポイント効果は、夏のボーナス商戦までは持続し、薄型テレビで20~30%程度の押し上げが見込める」(台数・前年同月比)との考えを示した。消費者の生活防衛意識が高まる中、薄型テレビは5月に前年同月比で42.9%増という過去3年の推移を見ても最大の伸びとなっており、ポテンシャルは高いという。

主要デジタル家電の販売台数および金額前年同週比(表1)

さらに、「エコポイント導入前の買い控えと年度末商戦の反動から不調だった4月と比べ、5月は順調に回復した」と説明。薄型テレビに関しては、エコポイント開始直後から好調な滑り出しをみせたとしていた(※表1)。さらに「テレビが売れるときにはPCが落ち込む傾向にあるが、現時点ではその影響は見られない」と同氏。これも、エコポイントによる来客増が関係しているようだ。

薄型テレビ全体の販売台数および金額指数。台数ベースでは北京オリンピック時をクリア

薄型テレビ全体の販売台数・金額前年同月比と平均単価。5月に入り、エコポイント効果が顕著になっている

薄型テレビ全体のサイズ別台数および金額構成比

現時点で、売れ筋が好調な薄型テレビの特徴は「大型化」が進んでいること。これは、「サイズが大きいものほどポイントが多い、というエコポイントの特徴が影響するためだろう」と語り、「5月にはほぼ4割が40型以上のテレビとなっている」とした。

メーカーシェアでは、依然としてシャープが断トツの1位。2位グループには、パナソニック、ソニー、東芝がつけており、混戦状態が続いている。

薄型テレビ全体のメーカーシェア。ひき続きシャープがリード

薄型テレビ全体のサイズ別およびメーカー別平均単価。価格下落にはブレーキがかかってきたようだ

32型以上の薄型テレビの消費電力別台数構成比および薄型テレビの平均インチサイズと平均消費電力(表2)

なお、買い替えや、大型化など「本当にエコになるのか?」という疑問も一部から出ているエコポイント制度について、「薄型テレビは今年に入って省エネ化が著しく進んでいる」と分析。「エコポイント云々以前に、テレビ全体が省エネに向かっており、買い替えにおける平均消費電力の増加(※表2)は全体を見ると微々たるもの」としていた。