台北MRT(台北捷運)はWiMAX事業者の威邁思電信(VMAX)、WiMAX機器メーカーのAccton Wireless Broadband Corp(AWB)、SMC Networksと協力して列車車内向けのWiMAX実証テストを開始した。

車内からWiMAXによるインターネット接続を提供

台北MRTは、台北市内で地下鉄などの都市鉄道を運営している。このうち地上を走る新交通システムである木柵線で、WiMAX Taipei 2009開催初日の6月2日より列車内WiMAXサービスの実証テストが行われた。

Computex会場からは実証実験の行われているMRT木柵線の六張犁駅まで専用連絡バスが運行された

MRT木柵線。ゴムタイヤ方式による新交通システムである

実証テストでは、木柵線の沿線約10kmにWiMAXの基地局を設置し、走行中の列車車内や駅構内でWiMAX端末を使用したインターネット接続を体験できる。加えて、車両内に無線LAN内蔵のWiMAX CPEが設置。Wi-Fi搭載のノートPCやスマートフォンを利用して、Wi-Fi経由でWiMAX回線へアクセスできるようにしている。AWBによると本サービスは世界初とのことだ。

テスト車両にはデモ用にWiMAX搭載のネットブックが2台設置されており、乗客は自由にWiMAX回線を使ったWebブラウジングを体験できる。WiMAXのサービス概要やメリットなどを車両内の説明員に聞くこともできる。

WiMAX実証実験車両には目立つようにボディーペイントが施されている

車内では専用説明員がサービスの案内や説明を行っていた

速度は2.5Mbps前後、YouTubeの動画もスムース、

車内に設置されたネットブックを使い実際にネットアクセスを試みたところ、テキストベースのWebサイトはストレス無く表示可能であった。またYouTubeなどの動画サイトも映像・音声共にスムースに表示できた。メールの送受信やファイルのアップロード・ダウンロードも適度な速度で利用でき、実用性は十分高いように感じられた。

車内にはMiMAX搭載のネットブックがデモ用に設置されている。もちろん乗客が持ち込んだWiMAX(あるいはWi-Fi)搭載端末でも利用できる

ネットブックからWiMAXへ実際に接続中。テスト中のためか接続が切れることもあったが、その際も車内のWi-Fiへ切り替えればネットアクセスが可能だ

回線速度は実測で下り2.5Mbps前後、上り1Mbps前後であり、走行中も停止中も回線速度はほぼ安定していた。ただしWiMAX接続が切れることも時々あるようだ。その際は車内にはWi-Fiが常時飛んでいるため、端末から基地局への直接接続が不調の際はWi-Fi経由での接続が利用できる。

YouTubeの動画再生もスムースであった

速度は実測で下り2.5Mpbs前後

今回は往路をWiMAX接続、復路を車内のWi-Fi接続でネットアクセスを試みたが、Wi-Fi接続のほうは終点まで回線が切れることは無かった。車両に設置したWiMAX CPEと沿線のWiMAX基地局間は常時安定接続しているようだ。販売されているWiMAX端末の数はまだまだ少ないが、Wi-Fi端末からも利用できるので、今後多くの乗客に利用されるサービスになるだろう。

実証テストの期間は1年間の予定で、今後台北MRTはニュースや動物園のパンダの動画などオリジナルコンテンツの提供も予定している。また台湾内で開催される展示会の広告配信なども行われる予定だ。今後は木柵線の延長区間ともなる、同じ新交通システムを採用した内湖線でもテストが実施する予定とのことである。