パイオニアは3日、AVマルチチャンネルアンプ「VSA-LX52」を発表した。発売は7月上旬で価格は15万円。
VSA-LX52は、昨年6月に発売されたVSA-LX51の後継モデル。最大の特徴となっているのが「PQLSマルチサラウンド」への対応だ。PQLS(Precision Quartz Lock System)とは、BDプレーヤーとAVアンプとをHDMIケーブルで接続した際に、AVアンプ側のクロックをプレーヤー側も使用することで、ジッターの発生を抑えるという仕組み。PQLSには、「PQLS 2chオーディオ」と、その上位バージョンである「PQLSマルチサラウンド」の2種類が存在する。PQLS 2chオーディオでは、このジッターレスの仕組みは、音楽CD再生時にのみ有効になっていた。それに対して、PQLSマルチサラウンドは、BDやDVDに収録されているリニアPCM音声信号の伝送時にも利用可能となる。もちろん、ステレオ音声だけでなく、マルチチャンネル音声(リニアPCM伝送時)の再生時にも有効だ。
5月に同社が発売したBDプレーヤー「BDP-LX52」が、PQLSマルチサラウンドに対応しているが、AVアンプ側は今回のVSA-LX52より、その実力を発揮することが可能になった。
また、AVアンプ側のマスタークロックを利用するということになると、問題になるのが、AVアンプに搭載されているマスタークロック回路の精度だ。VSA-LX52ではPLL回路により、安定したマスタークロックを実現しているが、それだけでなく、クロックの波形を整えるためのジッターリダクション回路を搭載している。この回路は、VSA-LX81/71などの上級機にも採用されているものだが、VSA-LX71/81ではHDMI入力の直後に配置されていたものを、VSA-LX52ではD/Aコンバーターの直前に変更。これにより、HDMI入力だけでなく、すべてのデジタル入力に対して効果を発揮するようになった。
その他の変更点としては、アドバンスドサウンドレトリバーのマルチチャンネル対応。サウンドレトリバーは、同社独自の、圧縮音声の補間技術だが、従来のステレオ音声に加えて、新たにマルチチャンネル音声の補間にも対応した。また、ノイズ低減に配慮し、デジタル信号の配線パターンも見直されている。
基本性能は、VSA-LX51から変化はなく、フロント/センター/サラウンド/サラウンドバックともに定格出力110Wの7ch構成(20Hz-20kHz、THD 0.09%、8Ω)。
入出力には若干の変更がある。HDMIが3入力/1出力から、5入力/2出力へと増やされているが、アナログマルチチャンネル入力は、従来の7.1chから5.1chへと変更されている。同様に、デジタル音声入力は、従来機の光×4/同軸×2から光×3/同軸×2と、コンポーネントビデオ入力も従来の3系統から2系統へと減らされている。同社によると、現時点でHDMIでの接続がメインになりつつあり、今後もそのウェイトが増えていくだろうということで、HDMIに重点的にリソースを振り分けた結果とのことだ。