Sony Computer Entertainment America (SCEA)は6月2日(米国時間)、E3におけるプレスカンファレンスをShrine Auditoriumにて開催、ポータブルゲーム機の新製品「PSP go」を初公開した。

「PSP go」はコンシューマに浸透している"デジタルライフスタイル"をテーマに、パブリッシャーや開発者、ゲーマーに対して「どのようにPSPを向上させるか」をリサーチし、そのフィードバックをデザインや機能に反映させた「デジタルライフスタイルのためのデバイス」だという。同製品を発表したSCE社長兼CEOの平井一夫氏は最初に「『PSP go』は『PSP-3000』や『UMD』の後継製品ではない」と言明。「PSP go」とともに、同社は今後も「PSP-3000」とその市場のサポートを継続する。

ポケットから「PSP go」を取り出した平井一夫氏

「PSP」と「PSP go」は共存する

「(PSP-3000と同じ)高品質なスクリーン、OS、Wi-Fi機能を備え、同じように素晴らしいゲームをプレイできる。だが、そのサイズはデジタル・コンシューマー向けである」と平井氏。16GBのメモリを内蔵。ゲームやビデオ、そのほかのコンテンツはPlayStation Networkからのダウンロード入手、またはメディアマネージャーを使ってPCから転送する。ボタン類をスクリーン下に収められるスライド機構を装備し、UMDドライブのない「PSP go」の本体は、オリジナルの「PSP-1000」よりも50%小さく、40%軽い。通信機能としてWi-Fiのほか、Bluetoothを備える。

ダウンロード・スタイルにあわせて、「Media Go」というPCからPlayStation Storeにアクセスしでき、各種コンテンツを管理する新メディアマネージャーを提供する。また今年の秋には、「SensMe channels」の音楽おすすめ機能を備えた新しい音楽ソフトもPSP向けにダウンロード提供するそうだ。

「PSP go」登場にあわせてメディアマネージャーを刷新

昨年のE3で発表した映画/ TV番組の配信サービスのパートナーが増加。現在映画1,900タイトル、TV番組9,400本を揃える

平井氏は説明の中で「PSPで音楽を楽しむユーザーが増えている」と強調していた。ゲーマーに言わせれば、「PSP go」はUMDドライブをメモリストレージに置き換えただけかもしれない。だがビデオや音楽を再生できても、PSP-3000の顔はゲーム機だ。逆にビデオ、音楽、そしてゲームも持ち歩きたいけど大きなPSPには抵抗があるという人にとって「PSP go」は、PSPとは全く異なるエンタテインメント・ガジェットになる。

「PSP」ならでは機能を備えた『GRAN TURISMO』と『MGS』

「PSP go」の発表に続いて、PSPのビッグタイトルが2つ発表された。まず『GRAN TURISMO』。PSP版はポータブル用ではあるものの、800台以上の車、35コース、60以上のレイアウトを備えたフルスケール版であるという。その上でPSPならではの携帯性を活かしたアドホック機能を持つ。最大4人による対戦、またガレージの内容の交換・共有が可能。1人で800台以上の車に挑むのではなく、友だちと協力しながら車を獲得できる楽しみがある。

実際に『GRAN TURISMO』が動作している「PSP go」を持って山内一典氏が登場

プレイデモはなくビデオ上映のみ。E3の展示場ではプレイ可能になっているという

2つめは『Metal Gear Solid: Peace Walker』だ。「『PSP go』の発表で熱くなっているPSPで、スネークが帰ってきます」と小島秀夫氏。『Metal Gear Solid 3』の10年後、1970年代を舞台にした物語になる。PSP版でありながら「正統派の続編」であると小島氏は強調した。ゲームデザイン、演出、プロデュース全てを同氏が兼任するほどの力の入れようで、こちらも携帯ゲーム機ならではのギミックやシステムが追加されるそうだ。

『Metal Gear Solid: Peace Walker』は小島氏が開発を率いるタイトルになる

会場で上映された『Space Walker』のトレーラー

PSPタイトルになる『LittleBigPlanet』

『Resident Evil(バイオハザード) Portable』

2010年春にプレイステーション3に新モーションコントローラ

前日にMicrosoftが「Project Natal」という体の動きと声によるゲームコントロール技術を発表したのに続いて、SCEAも開発中のPlayStaion 3向けモーションコントロール技術のデモを披露した。これはEyeToyを開発したRichard Marks氏によるものだ。プロトタイプのコントローラはスティック状で、モーションセンサーを内蔵し、いくつかのボタンを備えていた。さらに先端についている光る球体の動きがEyeToyカメラによって読み取られ、非常に正確なトラッキングを実現するという。テニス、シューティング、ドロウイング、弓、ソードなどのデモが行われ、例えば弓は手の引き方で強さを微妙に調節できるなど、Wii Sports Resortのアーチェリーのような機能を実現していた。

モーションコントローラのプロトタイプを説明するRichard Marks氏

EyeToyベースなのでプレイヤーをゲーム内に取り込むことも可能

ドロウイング・デモ

弓矢でシューティング

今回は開発者のアイディアを引き出すためのプレビューデモだった。SCEA CEOのJack Tretton氏は「これはPlayStationの将来のエキサイティングな要素であり、2010年春のローンチに備えておいて欲しい」と付け加えた。

このほかPlayStation 3向けのタイトルとして『Final Fantasy XIII』を見せたあと、オンライン版RPGとなる『Final Fantasy XIV』が発表された。トレーラーが流されたのみで詳細は不明。サービスインは2010年になるという。

『FF XIII』の話をしながら、突然「その次も進んでいる」と『FF XIV』を発表

また『ModNation Racers』という、リトルビッグプラネットのようにゲームを創り、共有・プレイできる新タイトルが紹介された。レーシング・ゲームで、ドライバーや車のスタイル、そしてレースコースも手軽につくり出せる。

自動車のMod文化を反映した『ModNation Racers』

レースコースを造っているところ。原っぱをカートで走るだけ。この後、山や木々、建物などを追加していく

最後は2010年3月発売予定の『God of War III』のデモで終了。2009年~2010年は、PSP/ PlayStation 3ともに、ビッグフランチャイズからの作品を含むタイトル拡充の時期になるとTretton氏は述べていたが、それを納得させる2時間だった。

およそ2時間のプレスカンファレンスの締めは『God of War III』