米カリフォルニア州ロサンゼルスで2日(現地時間)からE3(Electronic Entertainment Expo)が始まるのにあわせて、1日(同)に米Microsoftがプレスカンファレンスを開催した。昨年のXbox 360版「Final Fantasy XIII」の発表に続いて、今年はKONAMIの小島秀夫監督が登場するというサプライズを用意。またプレイヤーが体と声を使って直感的にゲームを操作できるコントローラ技術「Project Natal」(コードネーム)を初公開した。
プレスカンファレンスは2009年9月9日に発売される『The Beatles: Rock Band.』からスタートした。Cavern Clubに始まり、シェイスタジアム・ライブ、Abbey Roadレコーディングなどビートルズの足跡をたどれるほか、これまで未公開だったセッション時のメンバーの会話を聞けるなど、ビートルズ・ファンがコレクションに加えたくなるようなゲームに仕上げられている。ゲストとしてまず、オノ・ヨーコとオリビア・ハリソンが登場。さらにポール・マッカートニーとリンゴ・スターまで現れるという豪華な幕開けになった。
続いて登壇したマイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントJohn Schappert氏は「今日はチャートを見せながら売上げを比べるような話は一切しない。ひたすらゲームを楽しんでもらう」と宣言。10ワールドプレミアと題して、以下のような作品を次々に紹介した。
- Tony Hawk: RIDE (Activision)
- Modern Warfare 2 (Infinity Ward/Activision)
- Final Fantasy XIII (Infinity Ward/Activision)
- Shadow Complex(Epic Games/Microsoft Game Studios)
- Joy Ride (Big Park/Microsoft Game Studios)
- Crackdown 2 (Ruffian Games/Microsoft Game Studios)
- Left 4 Dead 2 (Valve)
- Tom Clancy's Splinter Cell Conviction (Ubisoft)
- Forza Motorsport 3 (Turn 10/Microsoft Game Studios)
- Halo 3: ODST (Bungie)
『RIDE』の紹介ではトニー・ホーク本人がフルモーションセンサー技術を備えたスケートボード・コントローラのリアルな操作感をアピール。また『FF XIII』では北瀬佳範プロデューサーと鳥山求ディレクターがXbox 360で動作する同作品を初めて公開した。最後のBungieは別プロジェクト『Halo: Reach』にも言及。Xbox Liveでのマルチベータ・テストには、『Halo 3: ODST』を通じて招待することを明らかにした。
10ワールドプレミアがひと通り終了したところで、シニアバイスプレジデントのDon Mattrick氏が登場。「すべてのXbox 360オーナーが待ち焦がれていたフランチャイズ、欠けていた1つのピースが埋まった」という言葉に続いて、壇上に小島監督が現れた。そして『Metal Gear Solid: Rising』でXbox 360に参入すると表明した。スクリーンには「Lightning Bolt Action」という副題のみで、Sneakについて言及を避けるなど、現状では謎ばかり。それでもMattrick氏に「これで我々はプラットフォームの完成を宣言できる」と言わしめるインパクトである。
スピルバーグ監督も「Project Natal」に太鼓判
終盤にさしかかるとMattrick氏はコントローラ論争に触れた。「Microsoftもモーション・コントローラを追加できるか? と聞かれれば、もちろん"できる"と答える。だがコントローラはプレイヤーとゲームを隔てる障壁である」と同氏。
「誰もがすぐに楽しめるコントローラとは?」を考えたときに、「プレイヤー自身をコントローラにすれば障壁は取り払われる」という答えに行き着いた。それを実現しようとしているのが「Project Natal」である。体を動かし、声を出すだけで、プレイヤーが自然とゲームに入り込める。
「Project Natal」ではRGBカメラ、深度センサー、マルチ配列マイクなどを組み合わせたセンサーが、ユーザーの体の3次元的な動きや音声を捕らえる。例えばプレイヤーの体の動きが、そのままゲーム内のアバターの動きに反映される。『Ricochet』というエクササイズ・ゲームのデモでは、プレイヤーが投げたり蹴ったりする動きをしながら、ゲーム内のアバターを通じてボールでブロック塀を壊した。強く蹴れば、それだけボールの勢いが増す。マルチプレイも可能で『Paint Party』というドロウイング・ゲームのデモでは、プレイヤーが2人でゾウの影を作って1枚のサファリの絵を完成させるユニークな共同作業を実演して見せた。
「Project Natal」は単にオブジェクトとしてプレイヤーを捕らえるのではなく、プレイヤー個々の顔を認識し、また言葉の意味も理解するという。体の動きに加えて、言葉や感情もゲームに伝わるため、よりインタラクティブなエンターテインメントが可能になる。講演の最後に、プレイヤーの感情に訴えるゲーム作りで知られるLionhead StudiosのPeter Molyneux氏が、「Project Natal」を使ったプロジェクトのビデオを披露した。プレイヤーとゲームのキャラクターが会話をしているように進む。プレイヤーが紙に描いた絵をディスプレイに投げ込むようにすると、それがゲーム内に自然な形で取り込まれ、絵がプレイヤーとゲームキャラクターを結びつける。現実とゲームの区別があいまいな不思議な世界となっていた。