全米での興行収入が早くも1億9,000万ドルを突破し、現在世界中で大ヒットしている映画『スター・トレック』。J.J.エイブラムス監督の手によって新たに生まれ変わった本作は、シリーズの原点とも言える"いかにしてカークはキャプテンとなったのか"を描いた意欲作でもある。今回、そのカークの仲間であり、良きライバルでもあるスポックを演じたザッカリー・クイントが来日。本作への思いや日本の印象などについてお話を伺うことができた。
――今回スポックを演じることになった経緯について教えてください
ザッカリー・クイント(以下:ザッカリー)「とてもスムーズで、有機的なプロセスだったよ。まずテープに自分が(台本を)読んだものを録って、キャスティングディレクターに渡したんだ。それをJ.J.が聴いて、ミーティングをした後すぐに役をもらうことができた。オーディションはその一度だけだったよ」
――世界中で人気のあるスポックというキャラクターを演じてみて、これまでの役とは違った苦労やプレッシャーなどはありましたか?
ザッカリー「スポックという人物は、感情をあまり外に出さないんだ。彼を演じるために感情表現を抑えなければいけなかったのが苦労した点かな。でも演じることについてのプレッシャーは、特に感じなかった。レナード(・ニモイ=旧シリーズでのスポック役)や監督のJ.J.がしっかりサポートしてくれたからね」
――共演したクリス・パインとゾーイ・サルダナの印象は?
ザッカリー「クリス・パインは俳優としても人としても素晴らしい。すごく仲のいい友だちなんだ。ゾーイ・サルダナは美しくて、才能もある。実に驚嘆すべき人だ」
――今後、挑戦してみたい役はありますか?
ザッカリー「良い監督がいて良い脚本があって、素晴らしい俳優がいる作品には、もちろん出たいと思う。でもそろそろSFから出発して(※)、違うジャンルにも挑戦したい。もっとインティメントな――それを僕は『二人の人が部屋にいる』って表現しているんだけど、そういう人と人との関係を描いたドラマとか、あとはコメディとかね。特殊効果やレーザー光線、宇宙船が出てこない映画にも出演してみたいんだ(笑)」
ザッカリーはTVドラマシリーズ『HEROES』のサイラー役で大ブレイク。確かにSF色の濃いキャリアを積んでいる
――来日は今回が初めてとのことですが、日本はいかがですか?
ザッカリー「ホテルが素敵だね(笑)。――実は昨日、空港からここに来る間に30分ぐらい原宿を歩いたんだけど、あとはずっとホテルにいて、そのまま明日帰るんだ。今回は日本を見る時間がぜんぜんなかったから、できればまた戻ってきて見て回りたい。東京と、それから京都がとても綺麗だと聞いたよ」
――最後にファンへのメッセージをお願いします
ザッカリー「まず以前からの僕のファンに、『応援してくれてありがとう』と言いたい。次にこの作品で僕のファンになってくれた人には、『ようこそ』と。そしてファンの皆さん全員に伝えたいのは、僕がいるのは皆さんのおかげだということだ。これからも僕は色々な所で色々な役をやっていくと思うけど、ぜひ応援し続けてほしい」
長旅を終えた直後にも関わらず、疲れた様子をまったく見せずに質問に答えてくれたザッカリー・クイント。「飛行機の中では寝たり読書したりするけど、仕事でSF物をやっていないときは、SFは読まないよ(笑)」と笑顔で語る彼からは、クールなスポック役とは正反対の明るくて気さくな人柄が伝わってきた。今回は滞在のほとんどを仕事に費やしたというザッカリー、次回の来日ではぜひゆっくりと日本を堪能してほしい。
『スター・トレック』は5月29日より全国ロードショー。
PROFILE
Zachary Quinto
1977年6月2日生まれ ペンシルバニア州出身 31歳
11歳の頃から数々の舞台を踏み、演技の腕を磨く。大学卒業後は『CSI:科学捜査班』や『シックス・フィート・アンダー』などのTVドラマにゲスト出演。2006年スタートの『HEROES』では連続殺人鬼サイラー役を射止めブレイクした