エンジニアに未来はあるか

後半のテーマは「エンジニアおよびITの未来について」ということで、まずひが氏がここ1、2年の間に起こりそうな変化として、クラウドがビジネスの世界に浸透することを挙げた。そしてその結果として「SIerのような非効率的なやり方は伸びなくなり、小さなチームが作るサービスがビジネスに使われるようになると思う。受託開発などは減っていくのではないか」と語っている。

それに対して楠氏は、「SIerはユーザ企業との関わりや雇用法制などの問題を引き受けている側面もあり、依然として残るだろう」と指摘する。谷口氏も、急激に変わっていくものではないとしながらも、「ある程度は淘汰されていくはず。働く人がモチベーションを持てないようなブラック企業に未来はない」と語り、エンジニアの未来に希望を見出している。

これまでを振り返って見れば、エンジニアの人口や企業の数は急激に増えてきた。今後淘汰が起こるとすれば、どういう企業が生き残るのかが問題となる。それについてよしおか氏は次のように指摘している。

「重要なのは神(第一人者、優れた専門家など)は(会社の)外側にいるということ。必要なのはそれを自社の強みにしていくビジネスモデルです。技術は社外のコミュニティのものだという考え方を受け入れれば、そこはブルーオーシャンですよ」(よしおか氏)

ひが氏は、エンジニア個人にとっても今がチャンスの時期だと強く呼びかけた。

「例えばRDBMSの基本的な技術は30年間ほとんど変わっていません。しかし今はクラウドなどによって、データベースについても全く新しい技術や使い方が生まれています。まだ誰もノウハウを持っていません。今始めればトップになれるチャンスがあるわけです」(ひが氏)

暗い話題が先行するIT業界だが、視点を変えればそれをチャンスに変えることもできるということか。もちろん、そのチャンスをモノにできるかどうかは自分次第である。

「感想をブログに書いて欲しい」

最後に、登壇者4名それぞれからまとめとして次のような呼び掛けがあった。

「今日の感想をぜひブログに書いて欲しいと思います。それがみなさんにとっての第1歩にります。自分ができることを積み重ねていけば未来は楽しくなるはず」(よしおか氏)

「言いたいことはほぼ伝えられたので、前回のような"残糞感"は無いです。会場のみなさんの感想も参考にしたいと思います」(谷口氏)

「IT業界は変化の早い業界で、会社が1人の一生を面倒見るような仕組みができていません。その中で何が自分の役に立つのかを見極めるには、実際に目で見て、自分にとって何が楽しいのかを模索することが大事です」(楠氏)

「今回は伝えたいことを事前に用意して、ちゃんと結論が出せるように心掛けました。その辺りの評価も含めて、ブログなどで感想を教えて欲しいです」(ひが氏)