広島県呉市の阿賀港と愛媛県松山市の堀江港を結ぶ呉・松山フェリーの運行が6月30日をもって終了する。同フェリーの運行会社が5月25日、業務の停止を発表した。
同フェリーは、1964年に貨物路線として就航を開始。その後は一般客向けの運行業務も開始し、最盛期には1日18往復を運行し、車両の乗船台数は年間15万台を数えたという。
一方、2006年には瀬戸内海を結ぶ自動車道「しまなみ海道」が全線開通し、利用者が減少。燃料高騰などの影響もあり、2008年9月以降は1日9便にまで半減していた。
さらに、今春から景気対策として高速道路のETC特別割引が導入され、今年4月の乗用車の利用台数は約1,640台となり、前年同月の半分にまで減少。ゴールデンウィーク期間中も50~60%減と苦戦し、業務の維持が困難であると判断したと説明している。
同社の担当者は「就航以来、市民の足となってきたフェリーが選択肢のひとつとしてなくなってしまうのは遺憾。経費削減などこれまで営業努力を続けていたが、さすがに高速料金が1,000円となると到底太刀打ちできない」と話し、廃線後は会社の清算手続きに入る予定であることを明かした。