従来、「人とくるまのテクノロジー展」では電気自動車やクリーンディーゼル関連の展示がとても多かった。しかし今回見回したところ、意外に少ないように感じた。これは技術開発をすでにクリアし、市販段階まで来ていることの現われではないだろうか。

すでにショーでは当たり前の電気自動車

つい先日、日産自動車は2010年の秋より電気自動車(EV)を生産すると発表したばかり。ブースにはその実験車両「EV-01」が置かれていた。電気容量を2倍に増やしたというリチウムイオンバッテリーは、大きいことは大きいが、電気自動車用としてびっくりするほど大きくはない。形状もこなれて来た感じだ。完成度はずいぶん高そうだ。後はインフラがどうなるかだ。

そのほか展示されていた電気自動車としては、「最新クルマのエコ教室」コーナーに置かれたスバルの「プラグイン ステラ コンセプト」や、三菱自動車ブースですでにおなじみになっている「i MiEV」のほか、小型コミューターが部品メーカーのブースにも置かれていた。そういった意味ではすでに珍しくなくなりつつある。後は実用化だ。三菱の「i MiEV」はこの夏から一般向けとしても発売されると報道されているが、果してどう受け入れられるだろうか?

日産自動車の電気自動車実験車両「EV-01」

EV-01に搭載されるリチウムイオンバッテリー

スバルの「プラグイン ステラ コンセプト」

プラグイン ステラの説明パネル

クリーンディーゼルはどうなった?

現在発売されているクリーンディーゼル車、日本でいえば2010年10月から適用される「ポスト新長期規制」に対応したモデルは、日産自動車の「エクストレイル」しかない。昨秋、新たにディーゼルエンジンを搭載した三菱自動車の「パジェロ」もクリーンディーゼルかと期待されたが、現行規制対応のレベルだった。三菱自動車のブースに置かれたディーゼルエンジンも現行モデルのもの。話を聞いたところ、来年の規制開始に合わせるため、改良を続けているところとのこと。がんばってほしいと思う。そのほか、クリーンディーゼルの開発を公表しているのは、ホンダ、スバル、マツダ、トヨタなど、主だったメーカーは開発しているはずなのだが、今回のショーでは見ることができなかった。

それでもデンソーの「第3世代コモンレールシステム」や、いすゞの「次世代ディーゼル プラグイン ハイブリッド」などに進化を見ることができた。デンソーの「第3世代コモンレールシステム」は、200MPaという超高圧噴射に加え、1燃焼で9回のマルチ噴射を実現したというもの。エンジン高出力化、排出ガス低減、燃費向上を両立でるという。いすゞの「次世代ディーゼル プラグイン ハイブリッド」はまだイラストのみだったが、クリーンディーゼル、インホイールモーターに加え、プラグイン(外部からの充電)も可能にするという。自家用車ではなく、商用でこそエコ化は重要なのかもしれない。

三菱自動車の「パジェロ」に搭載されているディーゼルエンジン

デンソーの「第3世代コモンレールシステム」

いすゞの「次世代ディーゼル プラグイン ハイブリッド」

日野自動車のハイブリッドバスに搭載されている電池。さすがに巨大だ