「もう成田空港を遠いとは言わせない」。新しいスカイライナーには、そんな意気込みを感じさせる電車だ。時速160kmを実現し、山手線の接続駅となる日暮里から成田空港第2ビルまで、最速で36分で運行予定。これは現在の51分より15分も短縮している。「約一時間」から「30分ちょっと」といえば、強く印象に残る。印旛沼を貫く新アクセスルートと合わせて、創立100年を迎える京成電鉄の集大成と言えるプロジェクトだ。
山本寛斎氏のデザインコンセプト、「風」と「凛」とは
「風」は車体デザインのスピード感を体現した。車体先端から始まる鋭角で大柄なボディを引き締め、窓下の細い2本のブルーラインを配した。車体の白は「ストリームホワイト」で、混じり気のない純白。青色は「ウィンドブルー」と名付けられた。深みのある紺色のメタリックカラーは、日本と世界を結ぶ列車のサインでもある。配色の選択については、昼間だけではなく、夜間や地下駅でも美しく見えるようにと、先代AE100形を数パターンで塗装して実験したという。
「凛」は車内デザインの透明感と美しさを表現した。天井を先代AE100形より25cmも高いドーム型とし、荷物棚との仕切りなどにガラス素材を活用した。床は市松模様をアレンジして波を表現し、日本的な美しさにこだわった。拡大されたシートピッチに合わせて窓が大型化され、客室空間を明るくした。蛍光灯は先代AE100形の2倍の数が使われている。しかし、温白色の間接照明としたため、落ち着いた印象を与えている。
シートピッチは1,050mmへ拡大され、座面も470mmに広がった。人間工学に基づく形状と素材を採用しているため、十分な強度を持ちつつも軽くなっている。シートを向かい合わせようと動かしたら、スムーズに回転できた。シート表皮はクッション性と通気性持つ素材で、クッション材の一部にバネックスを採用しているという。バネックスは川島織物セルコンが開発した新素材で、ポリエステル100%の弾性繊維。簡単に言うと布で作ったバネだという。ウレタンや金属バネを使わずに、薄いクッションを作れるとのこと。座った瞬間は硬いと思った。しかし、痛みはなく、疲れにくいという印象だ。