ビジネスプロセスとモデルを具現化するのは、「アイログ製品の統合」と「BPM BlueWorks」である。同社は昨年8月にビジネスルール管理システム・ベンダーであるアイログを買収しており、同日、アイログ製品を初めてWebSphereブランドに統合した「「IBM WebSphere ILOG JRules V7.0」が発表された。
BPM BlueWorksは、ユーザーがクラウド上でプロセスをモデリングできるコミュニティである。エンジニアではなく、一般のビジネスユーザーを対象としているため、クラウド上で学習可能なツールやデモ、同社の専門家による教育が用意されている。また、事前に構築されたBPMアセットを利用することもできる。すべてのサービスは無料で利用可能で、提供は2009年四半期(同年6月まで)に開始される予定。「無料でビジネスモデリングについてここまで利用できるサイトはほかにない」と、三浦氏は自信を見せる。
Smart SOAを実現する製品として提供されるのがアプライアンスである。アプライアンスはWebSphereというソフトウェアブランドから提供される。ソフトウェア事業部がハードウェアを提供するのは、「ハードウェア、特にアプライアンスのほうがソフトウェアより便利なこともある」(三浦氏)からだそうだ。
すでに提供されている「IBM WebSphere DataPower SOA 」はESBを核としており、XMLデータの高速化を行う。5月16日より出荷された「V3.7.3」では、IPv6への対応が開始された。2009年第二四半期に発表が予定されているのが「IBM WebSphere CloudBurst」である。同製品は、WebSphere Application Serverをプライベート・クラウド上にデプロイ・管理することを可能にする。具体的には、顧客の環境のライフサイクルを管理し、コンテンツ作成、スケジュール作成、状態管理、キャパシティ・使用量、ストレージ管理を実現する。
上記の製品はプライベート・クラウドで使うべき製品とパブリック・クラウドで使うべき製品とに分かれており、図示すると以下のようになる。
また同社は同日、SOA推進のためのパートナー・コミュニティを設立している。「なぜこの時期にコミュニティが作られたのか? 遅いのでは?」という記者の質問に対し、三浦氏は「"Smart SOA"によってSOAの導入が容易になったのに加え、パートナーにおいてもSOAの導入事例が増えてきている。コミュニティでパートナーの方々に切磋琢磨してもらうことによって、これまで以上にSOA導入のスピードを加速していきたい」と説明した。
ここのところ、SOAの構築ではなく、運用に関する製品の発表が増えてきている。バズワードと言われ続けてきたSOAだが、企業システムを構成する一要素として成熟してきた証と言えるのではないだろうか。