5月とは思えない暑さが続く中、"オヤジ"アイテムの定番・ステテコが注目を集めている。大手百貨店がこのほど、紳士用肌着売り場で"オシャレステテコ"の取り扱いを開始した。
ステテコとは、もとは着物や袴の下にはく肌着として明治時代に生まれたもの。戦後、洋装になってからも、高温多湿な日本において、汗を吸い取り、ズボンと肌がベタつかないようにするための肌着として定着した。その一方で、ファッション性を重視する若者からは「ダサい」「オヤジくさい」と、すっかり敬遠されるようになってしまった。
だが、そんなステテコがこの夏、花柄やチェック柄などのプリントを施され、オシャレになって百貨店の売り場に続々と顔を出している。商品を展開するのは大阪の下着メーカーのアズがweb上で展開している、ステテコの研究所「steteco.com」。「steteco.com」の製品は2008年4月に発売され、これまでは直営ネットショップとセレクトショップで販売されていたが、今春、夏のコレクションから伊勢丹、東武百貨店などの有名デパートが取り扱いを始めた。
商品を発案・企画したアズ・企画生産本部の武村桂佑さんによると、同製品が生まれたきっかけは「自分が会社に入社して試しに自社の製品をはいてみたら意外に快適だった。でも、白いクレープ(ちぢみ)地の従来のステテコはやっぱりおじさんのイメージではくのに抵抗があり、それならばオシャレなステテコを! と思いついた」という。しかし、商品化には予想以上に試行錯誤を繰り返したそうだ。「ステテコにはやはりクレープ素材が一番だが、見た目がどうしてもダサい。別の素材でクレープっぽいタッチに仕上げようと試みたが思うようにいかず、結局はクレープ素材のままで立体裁断によるパターンを使用した」と武村さん。
また、今年の春夏コレクションのポイントをたずねると、従来は前面に付けられていた前開き部分のボタンが"比翼タイプ"と呼ばれる裏側に隠れる仕様に変更した点だという。背面にポケットを付けることで、「よりユニセックスなデザインと、部屋着感覚で使用してもらえるように改良した」(武村さん)。
これらの製品は、ひざ下までの「レギュラー(5,040円)」とひざ上丈の「ショート(4,725円)」の2タイプで展開。デザインは花柄、チェック柄など5種類がラインナップする。
さらに同研究所でのオススメは、"音楽を聴きながらリラックスをするステテコ"をコンセプトにした、"ステテコ+音楽"のコラボレーション商品「+music"siesta"」。プレミアムコットンと言われる"ラグジック"を使用したクレープ地に、人気グラフィックデザイナーによる特別仕様のステテコに、テイ・トウワとNatural Calamityによるオリジナルミックスの音楽CDが付属して、9,450円で販売されている。
この夏、新たに復活の兆しを見せるステテコ。その快適さをスタイリッシュに体感してみてはいかがだろうか。