UQ コミュニケーションズ 技術部門長 渡辺文夫氏 |
5月12日と13日にパシフィコ横浜で開催された無線通信技術・研究開発の専門展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2009」。同展示会初日に行われた専門フォーラムで、UQコミュニケーションズ 技術部門長の渡辺文夫氏が、UQ WiMAXの技術紹介や今後の事業方針について講演を行った。
渡辺氏は講演の冒頭で、これまでの通信業界とインターネットの歴史について解説。UQでは、「ブロードバンドをどこでも、ワイヤレスで使えるようにする。モバイルブロードバンドの本当の姿を追い求める」と説明した。
続いて、UQ WiMAXのサービスの料金プランや製品ラインナップなど、サービスの概要を説明。3月に発表した「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」ついては、「WiMAX内蔵のデバイスがでるまでだったら、こういった製品が役に立つ」とコメントした。
サービスエリアの状況については、都心エリアの受信状況を示した資料(2月26日時点)を提示し、23区内をカバーしたつもりだったが穴はあったと振り返る。「こういった部分を報告してくれているユーザーがいる」として、UQ WiMAXの電波状況を報告するWebサイト「みんなでつくるUQ WiMAXマップ」を紹介。ユーザーからの指摘を受け、「日々反省しながらエリアを作っている。7月の有料サービススタートの段階では、もっとよい状況になっていると思う」と述べた。
また渡辺氏は、モバイルWiMAXサービスで特にアピールしたい特徴として、OTA(Over The Air)による加入契約できる点を挙げ、「ソフトウェアのアップデートだけではなく、OTA機能を利用すれば、オンライン申し込みが可能となる。契約書を書く必要もない」と説明。「ぜひセルラーとの違いとして認識いただきたい」とアピールした。
講演の後半では、今後の事業戦略について説明があった。今後の事業方針として、「全国エリアの早期構築」「WiMAX搭載PCの普及」「LTEとの差別化」「国際標準」を掲げ、「セルラーのビジネススタイルとはまったく違う。インターネットの世界を作ろうとしている」とアピールした。料金プランは当面は4,480円の定額プランのみ。契約期間の縛りなどは設けないという。まずは「カバーエリアの拡大が最大の使命」という渡辺氏は語る。
インターネット接続サービスや電話サービスなどの上位レイヤーのサービスは、MVNOなどのビジネスパートナーに任せ、UQは、ベースとなるインフラ構築に専念するという。
LTEとの違いについては、「いちばん違う点はネットワークの管理方法」と説明。LTEは現在の携帯電話と同様、ユーザー管理にSIMを利用するかたちとなり、SIMカード1つで1契約となる。モバイルWiMAXはMACアドレスなので、デバイスベースでの管理となる。そのため、1加入で複数デバイスの利用が可能になるという。
UQでは、「(モバイルWiMAXは)Wi-Fiの使い勝手を進化させたもの」という認識で使われるサービスを目指すという。「現在Wi-Fiを搭載している製品は、ほぼWi-Fi/WiMAXになると考えてもらってよい」とのことだ。最初は、PCへ搭載からスタートし、キャリアとは無関係のリテール(小売り)デバイスの提供に注力する方針だという。基本的にはリテールデバイスでの提供を考えており、「現在提供している、UQブランドのデバイスが今後も出てくるということはない」と渡辺氏は説明する。
このほか、NVNO展開についても説明があった。現時点でニフティやビッグローブなど、22社の申し込みがあり、今後も増えていくという。渡辺氏は最後に、モバイルWiMAXは「インターネットをバリアフリーでどこでも楽しめる世界を作っていく」と語った。