ピーチ姫も捨てがたいが、ゲーム本編での活躍ぶりを考えると、世界でもっとも有名なゲーム・ヒロインで、そのナンバーワンといえば、やはり「ララ・クロフト」ではないだろうか。そんなララ・クロフトが主人公を務めるアクションアドベンチャーゲーム「トゥームレイダー」シリーズは、今も多くのファン支えられた人気シリーズとなっている。
その最新作が今回レビューを行う『トゥームレイダー:アンダーワールド』(以下、TRアンダーワールド)。先行してプレイステーション 3、Xbox 360向けに発売され、最近ではWiiやプレイステーション 2版も発売されたばかりというホットなタイトルである。
トゥームレイダーを振り返る
~TRアンダーワールドをプレイする前に~
「トゥームレイダー」のような長寿人気シリーズは、「途中から初めても面白いの?」と思う人も多いかと思う。もちろん、単体でも十分に面白いゲームだ。ただ、ララ・クロフトというキャラクターが非常に立っている作品なので、シリーズを通してプレイしていれば、よりいっそう楽しめる作品でもある。
『TRアンダーワールド』は、実にシリーズ9作目となる作品。ストーリーを理解するために、過去の8作品をすべてプレイするのは非常に厳しいものがある。だが、結論からいうと、本作のストーリーを追うために必要なのは直近の過去2作品だけでいいだろう。こういうと、「『TRアンダーワールド』の前に8作品もあるのに、なんで2作品だけプレイすればいいの?」という疑問を抱くのはごもっとものことである。順を追って説明しよう。
記念すべき第1作『トゥームレイダー』は1996年にパソコン向けに発売されたもので、処女作にして、もっとも高く評価されている作品。3Dアクションアドベンチャーゲームのスタンダードを確立し、後のゲームにも大きな影響を与えた。
一夜にして失われたアトランティス大陸。実はこれ、アトランティスの女帝ナトラの反逆によるものだったという話で始まるのが『1』。ナトラはアトランティス滅亡とともに地中に封印されたが、数千年後の現代、某国の核実験が彼女を目覚めさせてしまう。数千年ぶりに現世に還ったナトラはアトランティスのテクノロジーを現代科学に応用した製品を作り出す企業、ナトラテクノロジー社を設立し巨万の富を得る。彼女は現代社会でも、アトランティスを滅亡に追い込んだ"ある実験"をさせようと画策するが、彼女が眠っていた数千年の間に、必要なアトランティスの遺物が世界各地の遺跡に散らばっていることを知る。それを回収するのに大抜擢を受けたのがララ・クロフトその人というワケ。恐るべき計画に荷担しているとも気がつかずにララ・クロフトは遺跡探訪の旅に出る……。
名作と謳われる『1』は2008年に『トゥムーレイダー:アニバーサリー』(以下、TRA)となって、現代のゲームプラットホーム(PC、PS2、Xbox 360、wii、PSP)向けに発売されている。
そしてストーリー的に『1』(および『TRA』)の続編となるのが、2006年に発売された『トゥームレイダー:レジェンド』(TRL)になる。ややこしいことに発売順は『TRL』→『TRA』だったが、ストーリーの時系列は『TRA』→『TRL』となるので注意してほしい。
そして、この『TRL』の直後の続編となるのが、今回レビューを行う『TRアンダーワールド』。つまり、『TRアンダーワールド』の前にプレイすべきなのは『TRA』と『TRL』だけでよいということだ。
『TRL』は、ララ・クロフトが9歳の頃に遭遇した飛行機事故の話から始まる。ヒマラヤ山脈に墜落するも生き延びた母親とララは古い遺跡に迷い込む。ララは、うっかりこの遺跡の祭壇上の宝剣に触れてしまい、「なにか」の装置を作動させてしまう。遺跡の中に轟音と悲鳴が響き、やがて静寂が訪れるが、気がつけば母親の姿はなかった……。無事救出されたララだったが、事件後も母親はまだ生きていると信じており、世界中を旅しての遺跡探しのもう一つの目的は、実は消えた母親の行方(謎)を探すことにもあったのだ……。
『TRL』では、ララの女子大生(!)時代も描かれる。考古学の実習でペルーに来ていた学生時代のララと研究室の仲間たちは、遺跡の発掘に精を出していたが、ある日、不気味な亡霊のようなものを出現させてしまい、発掘現場がパニックに陥ってしまう。そしてこの最中、遺跡に仕掛けられていた防御システムまでが作動してしまい、遺跡が水没しはじめてしまう。このとき、最後まで行動をともにしていた親友アマンダ・エバートは、ララの目の前で遺跡のトラップに囚われ、還らぬ人となってしまう。しかし、アマンダは生きていた。しかも、ララへの復讐心を原動力にして……。
というわけで、『TRL』は、ララの母親を消した宝剣の謎と、アマンダとララの確執が描かれている作品だ。