2009年1月から3月、TVアニメの4thシーズンが放送された『マリア様がみてる』。そのドラマCDが2009年7月24日に発売される。ドラマCDシリーズでは待望の続編となる本作は、原作コバルト文庫「マリア様がみてる レイニーブルー」(集英社刊)より、「ロザリオの滴」と「黄薔薇注意報」の2本が忠実に音声化される。

「ドラマCD マリア様がみてる」ストーリー概要

●「ロザリオの滴」
マリア祭が終わって半月あまりが過ぎたが、志摩子は乃梨子を妹にしていなかった。祥子や令は、なかなかきっかけを掴めない二人を心配し、乃梨子を山百合会の手伝いとして薔薇の館に招く。しかし志摩子の心中は穏やかではない。さらに、リリアンの制度に馴染んでいない乃梨子は、祥子と衝突してしまう。

●「黄薔薇注意報」
由乃は令に剣道部に入りたいと申し出た。しかし令は入部に反対し、喧嘩になってしまう。その一件以来、令と由乃は険悪な雰囲気になっていたが、由乃は令に黙って剣道部に入部届けを出す。後からそれを知り寝込んでしまった令は、由乃に対して「姉妹の関係を考え直すべきかもしれない」と伝える。

今回リリースされるドラマCDに収録される「ロザリオの滴」と「黄薔薇注意報」は、TVアニメ化も行われているストーリーだけに、映像と音声のちがいにも注目したい1枚となりそうだ。

メインキャストが語る「ドラマCD マリア様がみてる」

(前列左より)清水香里、能登麻美子、池澤春菜、(後列左より)佐藤利奈、植田佳奈、伊藤美紀

発売予定日が7月24日となっており、ファンには少々待ち遠しいところだが、今回、本ドラマCDの収録後に、メインキャスト陣から話を伺えたので、ここで紹介しておきたい。今回の取材には、福沢祐巳役の植田佳奈、小笠原祥子役の伊藤美紀、島津由乃役の池澤春菜、藤堂志摩子役の能登麻美子、二条乃梨子役の清水香里、武嶋蔦子役の佐藤利奈といった6人が参加。ドラマCD収録の感想や聴きどころなどについて語られている。


――ドラマCDを収録した感想はいかがですか?

清水香里「二条乃梨子役の清水香里です。乃梨子はこの前のアニメのシリーズで、やっと山百合会の中に入って自立してきたというか、当初とはだいぶ変わってきたのを感じてきたところだったので、まだスールになる前の初々しいシーンを演じるのが不安でしょうがなかったです。でも、現場の雰囲気は変わらず、『マリア様がみてる』の現場は楽しいので、あっという間の半日でした(笑)」

植田佳奈「福沢祐巳役の植田佳奈です。祐巳はアニメの最後では、『妹ができるかも』ってウキウキしたところで終わっていたのですが、今回のドラマCDはお姉さまとのスール関係がこじれかけていて一番暗いところから始まっていたので、いつも元気な祐巳に元気がなくて、演じていて不思議な感じがしました」

伊藤美紀「小笠原祥子役の伊藤美紀です。ちょっと懐かしいシーンだったので、『ああ、こんな時代もあったなあ』って思いながら演じました。久々に怖い祥子様ができて、ちょっとすっきりしています(笑)」

池澤春菜「島津由乃役の池澤春菜です。令ちゃんがバカなんです(笑)。ぶっちゃけますと、今日、支倉令さま役の伊藤静さんがご不在で、ほぼすべての会話が令ちゃんとの掛け合いだったにも関わらず、一人でした……。すでに演じたことのあるシーンだったので、なんとなく頭の中で令ちゃんの声がしてるなあと思っていたのですが、気がついたら、それは伊藤静さん演じる支倉令さまではなく、伊藤美紀さんがモノマネをする支倉令さまにすり替わっていまして……」
伊藤「もう、令ちゃん役は私のものになりつつありますね(笑)」
池澤「けっこう混乱してました(笑)。ちょっと寂しかったのですが、でも一番最後に『雨降って地固まる』という言葉があったので、こういうのも含めて『黄薔薇』なんだなと思いました。令ちゃんのバカ!」

能登麻美子「藤堂志摩子役の能登麻美子です。『ロザリオの滴』という話は、乃梨子ちゃんにロザリオの授受をするまでのシーンで、最近のアニメの本編ではスールになって落ち着いていて、あまり言葉数も多くなかったのですが、今回はモノローグや掛け合いなど、ひたすら一人でしゃべっているという感じになっていまして、久しぶりで非常に緊張しました。志摩子のモノローグは、非常にウェイトが重いセリフが多く、少し複雑な気持ちでした」

佐藤利奈「武嶋蔦子役の佐藤利奈です。蔦子はいつも通りに飄々とした感じでした。『私はカメラを通して、みんなの心の中まで写したい』というセリフがあるのですが、私のすごく好きなセリフなので、また言えたのがとてもうれしかったです。最近は、白薔薇さまたちを長年連れ添ったご夫婦のような、ご隠居のような感じで見ていたので、『あ、こんな波乱万丈な出会いがあったんだ』ということを、またあらためて思い出しました。そして、ピリッとした祥子さまが、私は非常に好きなので、今日はちょっとトキメキました。皆様もちょっとドキッとしてください(笑)」

――今回のドラマCDの聴きどころを教えてください

清水「志摩子さんからロザリオを受け取るところはもちろんなのですが、個人的には、1年生にして祥子さまとやりあったところですね。自分では上級生に楯突くなんてことはなかなかできないので、ちょっとウキウキしながら演じました(笑)。中学や高校のときは、『年功序列反対』みたいなことは絶対に言えない感じだったので、ちょっとスカッとしましたね。ただ、志摩子さんがちょっと心配になるぐらいの感じだったので、あらためて志摩子さんには乃梨子がついていなきゃと実感しました。志摩子さんの落ち具合も聴いてください」

植田「今回、祐巳はあまりしゃべってないです(笑)。好きなシーンは、由乃さんとちさとさんの会話のシーンで、一時期ケンカをしたりもして、ちょっとツンツンしているんだけど、すでに友情みたいなものが生まれ始めているというか、令さまを挟んで、令さまは女性なんですけど、恋人をちょっと取り合った後に、新しい女の友情が生まれましたというような感じが出ているので、すごく好きです」

伊藤「今回紅薔薇は、特にエピソードがなかったので、白と黄色に主役を譲りました(笑)。やはり私にとっては、乃梨子ちゃんと言いたいことを言い合って、思いっきり叱るというか、先輩として、『こうあるべきじゃない、一年生は』っていうような助言をさせていただきましたが、乃梨子ちゃんはとても賢い子なので、私が憎くてやっているんじゃないということをちゃんとわかってくれていたよね?」
清水「ちゃんとわかってます(笑)」
伊藤「ロサキネンシスのことも別に嫌いじゃないのよね?」
清水「はい、嫌いじゃないです。ただちょっと、ご飯に汁が混ざるのが(笑)」
伊藤「ご飯はやっぱり白いままいただきたいというのが、私のポリシーなので(笑)。最後に志摩子ちゃんが飛び出していったときに、私が乃梨子の背中を押してくれたのよっていうようなシーンがあるのですが、すでにもう乃梨子ちゃんを山百合会の一員として認めている私も素敵だなって(笑)、すごく褒めてあげたいと思いました。これからが楽しみですね」

池澤「黄薔薇と白薔薇が双方ともに、スールの関係の中で悩んでいくのですが、それぞれの悩んでいる根っこの部分は変わらないのかもしれないけれど、悩み方が違うというのが、合わせて聴くとすごくよくわかって面白いような気がします。私としては割とノホホンとしたイメージで、いろいろなことに動じず、『しーまーこーでーすー、ふふふ』みたいな感じの志摩子さんがこんなダウナーに、どんどんどんどん落ち込んでいくというのも珍しかったですし、普段は赤信号を青だと言い張って渡っていくような由乃が、実はその青だと言い切るまでに、ものすごくいろいろな葛藤を抱えていて、自分が意地を張っちゃっていることや素直になれないこと、いろいろなことがわかっていながら、それでも『ああ、やっぱりもうどうしようもない、そういう性格なんだから、でも後悔しているんだよ』みたいな、そういう内面の吐露もずいぶんいっぱい描いていただいたので、二つ合わせて、ちょっとずつ意外な黄薔薇と白薔薇を楽しんでいただけたらなと思います」

能登「シーンがシンクロしていて、由乃さんの側からと志摩子の側からと、ちょっと違う風に同じ時間軸が見られるので、合わせて聴いていただけると、すごく面白いかなって思います。個人的には、黄薔薇さんの最後で、由乃さんと令さまがいたわりあうシーンがすごく好きです。あれは完成したらぜひとも聴いてみたいなって思うのと……」
池澤「一人だったからね(笑)」
能登「白薔薇のところは、わかっていなかったのは志摩子だけで、周りはみんなもっとわかっていて、志摩子にいろいろとアプローチをかけてくれたりしているのに対して、もうちょっと彼女自身が委ねてもいいじゃないかなって思うところがあったので、ちょっと暗い気持ちになりました。セリフも少し重かったので、そういった皆さんの働きかけというのは、すごく聴きどころなのではないかと思います」

佐藤「蔦子は白薔薇さんのほうに出ていたので、そちらの聴きどころを。志摩子さんの弱い部分と、乃梨子ちゃんの意外な強さがみえるところです。前向きで、天真爛漫で、私がもし乃梨子ちゃんで、祥子さまにあんなことを言われたら、『仲良いよ』ってたぶん言えないと思うので、本当に芯からまっすぐ上を向いて育っている子なんだなって思いました。あと、祥子さまがああは言ってもけっこう優しいところですね。お姉さまの包容力をぜひ聴いていただきたいと思います」

――最後にファンの方へのメッセージをお願いします

清水「演じている自分としてはとても懐かしいというか、ちょうど『マリア様がみてる』に参加してすぐのときで、いきなりお当番でどうしようって思っていたときのエピソードなんですよ。アニメでやったときは余裕がなかったのですが、今回はいい意味で変われたかなと思うので、ぜひぜひ期待してください。そして両方を聴いて楽しんでください」

植田「原作を追うドラマCDは、『チェリーブロッサム』以来、すごく久しぶりだったので、今日の収録はすごく楽しみでした。またこれからシリーズ化していければいいなと思いますので、ぜひ応援よろしくお願いします」

伊藤「小さなエピソードが『マリア様がみてる』の中にはたくさんあって、第4期のTVシリーズでも、由乃ちゃんが怒ってしまうほど、予告編のみで片付けられてしまったエピソードもたくさんあるので、そういったところをこういう形でフォローしていけたら、本当に作品も広がるし、みんなも楽しめると思います。ぜひ今後も続けていけるように、応援をよろしくお願いいたします」

池澤「ずっとこのところ、アニメの中でマリア様の世界に浸っていて、すごく久しぶりにドラマCDに戻ってきました。ちょこちょことラジオ用の細かいエピソードはあったのですが、これだけガッツリとドラマCDとして演じるのは本当に久しぶりです。目で見て、絵の表情からいろいろなことを察するアニメとはちがって、ドラマCDなので、すごく心情の細かいところを丁寧に追っていくことができます。アニメはアニメの魅力があるし、音声だけのドラマは音声だけのドラマのしっかりとした魅力があって、その両方でマリア様の世界を味わっていただくと、より深いところまでみんなの気持ちなどがわかっていくのではないかと思います。もうアニメとしてはオンエアされている話なので、そちらと合わせてドラマCDも聴いていただければ、2倍、3倍と面白くなるのではないかと思います」

能登「ドラマCDは、ひとつのエピソードを掘り下げて、心情も細かく描かれていますので、アニメとは違う楽しみ方をしていただけると思います。ちょっと振り返って、ドラマCDを楽しんで聴いていただけたら、嬉しいなと思います」

佐藤「久しぶりのドラマCDということで、かなりモノローグも多いですし、心理描写も深くなっているので、聴き応え十分だと思います。原作の雰囲気がドラマCDには強く出ている気がして、私はそこがとっても好きなので、原作を片手に聴いていただいても、またちがう魅力が生まれるのではないかなと思います。楽しんで聴いてください」

――ありがとうございました


タイトル ドラマCD マリア様がみてる ロザリオの滴/黄薔薇注意報
キャスト 福沢祐巳 (cv. 植田佳奈)、小笠原祥子 (cv. 伊藤美紀)、島津由乃 (cv. 池澤春菜)、支倉令 (cv. 伊藤静)、藤堂志摩子 (cv. 能登麻美子)、二条乃梨子 (cv. 清水香里)、松平瞳子 (cv. 釘宮理恵)、武嶋蔦子 (cv. 佐藤利奈) ほか
発売予定日 2009年7月24日 品番 FCCN-0050
価格 2,940円
初回特典 ボーナストラック (声優のアフレコ感想コメント)
発売元 フロンティアワークス/ディーライツ 販売元 フロンティアワークス
販売協力 ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
(C)今野緒雪/集英社・山百合会3