では、2009年度の業績見通しはどうだろうか。
電機大手9社のうち、増収見通しは東芝、富士通の2社だけ。ソニー以外は営業黒字を見込むが、最終黒字は富士通、NEC、シャープの3社、三洋電機はブレイクイーブン。日立製作所の2,700億円の最終赤字、パナソニックの1,950億円の最終赤字、ソニーの1,200億円の最終赤字など、引き続き厳しい内容となっている。
各社首脳のコメントからは、2009年度上期までは厳しい環境が続くとするものの、期待値を込めて、下期以降の景気回復を折り込んでいる声が相次ぐ。だが、これも劇的な回復感を伴ったものではなく、慎重な姿勢には変わりがない。
大規模なリストラ策のほか、在庫圧縮への取り組み、調達から生産、流通までを含めたサプライチェーンの強化、研究開発体制の見直し、設備投資の抑制などは、各社に共通した取り組みとして、2009年度も実施されることになる。
一方で、新興国市場の攻略をはじめとする世界戦略を前提としたビジネスモデルへの転換、環境戦略を視野に入れた新たな社会的責任への対応など、経営に対する質的変化も見逃せない。
2009年度は、来年度以降の本格的な飛躍に向けて、どれだけ準備ができるかの仕込みの時期であることは間違いない。2010年度以降の業績を左右する重要な1年となりそうだ。