グローバル戦略は、「カバレッジの拡大(北米の空白地域、南米、オセアニアなど)」、「連携の推進」、「人材の育成」という3つの柱をもとに実施する。海外において4年間で2,400億円売上増を達成するために、M&Aが不可欠だという。「ソフトウェアベンダーのオラクルがハードウェアベンダーのサン・マイクロシステムズを買収したり、ハードウェアベンダーのシスコ・システムズがソフトウェアベンダーを買収したり、業界ではM&Aが一層活発化している。ブレイクスルーにはM&Aが必要、それも相当大規模なM&Aを行わなければならない」と山下氏。
代表取締役副社長執行役員兼国際事業本部長を務める榎本隆氏は、グローバル事業の利益について、「昨年は黒字になっており、今後は会社全体の利益率のアベレージの半分に持っていきたい。現在、のれんの償却費がかさんでいるが、国際会計基準が適用されればのれんの償却という概念がなくなり、海外の企業と同じ土俵に立てるようになる。そうすれば、会社の業績にも貢献できるはず」と説明した。
また12日には、7月1日付けで、公共事業と金融事業を統合した「パブリック&フィナンシャルカンパニー」、法人事業と国際事業を統合した「グローバルITサービスカンパニー」、テクノロジーに特化した「ソリューション&テクノロジーカンパニー」の3つのカンパニーから構成されるカンパニー制度が導入されることが発表された。13日には、各カンパニー長に就任する代表取締役執行役員が発表になった。
このような分類になった理由について、山下氏は「これまで法人事業と国際事業がバラバラだったので、営業面での連携を密にしたい。一方、公共と金融は営業面での連携は難しく、開発面でのシナジーを狙っている。なぜなら、公共関連のシステムと金融関連のシステムは開発文化が似ているから。公共事業が減っていくことが見込まれる一方、金融部門のエンジニアが不足しているというのも要因の1つ。加えて、今後は組込みソフト・業務アプリケーション・オープンソースソフトなどのソフトウェアビジネスに注力していきたいという意向から、独立したカンパニーを設けた」と説明した。
榎本氏はエンジニアに対する施策についても言及。「エンジニアはダブつくおそれがある。昨年、グループ会社4社の再編を行ったが、エンジニアのロスが生じないよう広い範囲で要員を配置してエンジニアの稼働効率を上げていきたい」
また、コスト削減を目的に、オフショアは積極的に進めていくという。昨年度のオフショア要員は1,200名だったが今年は2,000名に増やし、発注金額も前期の70億円に対して今期は120億円を予定しているという。
増収増益ながら、不況への危機感を緩めることなく、攻めの姿勢を見せるNTTデータ。山下氏は、「当社は20ヵ国60ヵ所に拠点を持っているが、Hewlett PackardやIBMにはまだまだかなわない。何とかその差を埋めて、グローバル企業のトップ5に入りたい」と、グローバル企業としての成長に意気込みを見せる。ドメスティックなIT企業の代表として、世界に躍進してもらいたいものだ。