5月12日に2009年3月期期末決算を発表したNTTデータ。赤字決算のIT企業が続くなか、堅調な業績を収めた同社は、今日の景気動向を反映した新中期経営方針と目標を明らかにした。2010年3月期を初年度として4年間にわたり、「営業力強化」、「SI競争力強化」、「グループ事業拡大強化」、「人材育成」、「環境志向経営」を柱に、2013年3月期には売上高1.5兆円達成を目標とする。
同社は現在、2008年3月期から2010年3月期を対象に中期経営方針・目標を策定していたが、現在、一部業種を除いてIT投資の抑制傾向が顕著であり、回復には時間を要するとして、新しい中期経営方針と目標を立て、舵を切り直す。
新中期経営の目標は、2013年3月期の売上高1.5兆円の達成、グローバル企業のトップ5入り、安定した経営に必要な利益額の確保だ。重点施策は、「営業力強化」、「SI競争力強化」、「グループ事業拡大強化」、「人材育成」、「環境志向経営」の5点が柱となる。
同社の2009年3月期の売上高が約1.14兆円だったため、2013年3月期に目標を達成するには4年間で3,600億円の売上を増やす必要がある。その内訳は、国内で1,200億円増、海外で2,400億円増。
3,600億円の売上増という"強気"な目標を達成するための裏付けを問う記者の質問に対し、代表取締役社長を務める山下徹氏は、「チャンスは5つある」と回答。1点目は昨今の不況がトリガーとなって、同社の主力事業であるアウトソーシング拡大が見込まれる点だ。コスト削減の対策として、アウトソーシングを提案していくという。
2点目は政府によるITに関する新戦略「3ヵ年緊急プラン」による需要の喚起である。「同プランでは電子行政の推進がうたわれており、これまで電子政府に注力してきた当社にとってはチャンスとなる」(山下氏)
3点目は株価の値下がりと円高である。大手ITベンダーはM&Aを着々と進めているが、同社も例外ではない。同社は昨年、ドイツのSIベンダーのアイテリジェンス、BMWの情報システム子会社であるサークエントを買収している。「昨年買収を検討した企業の買収額が現在半額になっており、リーズナブルな交渉ができる状況にある」(山下氏)
残り2つのチャンスとして、業界再編と環境経営への提案が挙げられた。