画質面については、基本的に「DP1」の画作りを踏襲している。FOVEONセンサーならではのリッチな階調性、シグマ製レンズの切れ込むようなシャープネスが目を見張る。F2.8という明るいレンズを採用しているので、大きなボケ味を楽しめるのが特徴だ。ボケ味は開放近辺でも収差がよく抑えられ、絞り全域にわたって実用できる。シャープネスは開放近辺でやや柔らかいものの、けっしてハレっぽい印象はない。F4あたりから一気に鮮鋭感を増し、「DP1」でおなじみのカミソリシャープを見せてくれる。
「DP2」は新たにカラーモードを搭載した。スタンダード、ビビッド、ポートレートなど、全7種類のモードを用意。QSボタンのメニューで選択でき、手際よく変更できる。JPEG派には重宝する機能だ。以下のサンプルは、カラーモードを変えながらJPEG撮影している。なお、付属のRAW現像ソフト「SIGMA Photo Pro 3.5」もカラーモードに対応し、プルダウンメニューから任意のモードを選べるようになった。
画質面で注目すべきはISO感度の向上だ。新たにISO 50が加わり、RAW撮影時はISO 1600とISO 3200も選べる。どのあたりが実用域なのか、大いに気になるところだ。そこで今回は、ISO感度を変えながら小物撮影を行ってみた。ストロボのモデリングライトを被写体の左奥にだけあて、あえて薄暗い環境で撮影している。暗所ノイズに加え、シャッタースピードが遅くなるためノイズがのりやすい。ちょっと意地のわるいテスト撮影だが、そのぶんノイズののり具合がよくわかるだろう。撮影はRAWモードで行い、「SIGMA Photo Pro 3.5」に読み込んで無補正で現像している。
まず、ISO 100とISO 200はほとんど見分けがつかない。「DP2」のISOオートはISO 100とISO 200を状況に応じて使い分ける仕様だが、どちらも画質的には安全圏だ。ISO 400は周縁部分が色かぶりこそしているものの、ノイジーという印象は薄い。ISO 400までは「DP2」の高画質を十分に満喫できる画質だ。
ISO 800は一見すると、偽色が少なくISO 400よりもクリアに見える。しかし、これはノイズリダクションの効果だ。遠目では滑らかに見えるものの、ピクセル等倍で確認するとシャープネスが甘くなっている。ISO 1600以上も同様の傾向で、ノイズリダクションがノイズを除去する一方、シャープさが失われていく。今回のテスト撮影にかぎっていえば、ISO 100からISO 400までが実用域という印象を受けた。ISO 800はノイズこそ適度に除去されているが、シャープネスの甘さをどうとらえるかがポイントとなるだろう。
問題はISO 50だ。今回のテストではシャッタースピードが0.4秒と遅かったせいか、周縁部に色かぶりが発生している。その一方、シャープネスやノイズの状態は、ISO 100と比べても決定的な違いが見えづらい。こうした結果を踏まえると、高画質を求めてISO 50を使うのではなく、むしろシャッタースピードを落とすための機能と考えるべきだろう。「DP2」の最速シャッタースピードは1/2000秒。晴天下の開放撮影では露出オーバーになってしまうことも。そんなときにISO50を選び、シャッタースピードを1/2000秒以下に抑える。要はNDフィルター代わりに用いるわけだ。滝をスローシャッターで撮りたいときにも重宝しそうだ。
さて、自由作例を紹介しながら撮影フィーリングを解説していこう。今回はRAWモードで撮影し、「SIGMA Photo Pro 3.5」に読み込んで無補正で現像している。カラーモードは「スタンダード」、ホワイトバランスはすべて「AWB」で撮影した。やや緑と黄色に片寄る傾向は、「DP1」とも共通のシグマカラーといったところか。発色自体は落ち着きがあり、普及価格帯モデルのようにビビッドカラーでごまかすようなことはない。階調とシャープネスに自信がある証だろう。コントラストがかすかに低いが、これは黒つぶれと白飛びを回避しているためだ。撮って出しの見栄えよりも、破綻のないデータキャプチャに注力している印象を受けた。ベテラン層向けの製品だけに、この方向性は理にかなっている。「DP1」は「RAWで撮ってナンボ」とよくいわれていたが、「DP2」に関しても同様のことが当てはまりそうだ。
「DP2」は最短撮影距離が28cmとなり、「DP1」より2cm短縮している。ただし、この2cmの恩恵はあまり感じられなかった。デジタル一眼レフの標準レンズなら28cmで何の不足もないが、やはりコンパクト機だけにもう一歩寄りたくなる。早い話がマクロモードがほしい。撮影シーンを問わずFOVEONセンサーで撮りたいなら、「SD15」の登場を待つことになるのだろうか。
大口径41mm相当ということで、思いのほか使用頻度が高かったのはMFアシスト機能だ。広角28mm相当の「DP1」は、パンフォーカス効果で広範囲にピントが合う。そのためピント合わせでシビアになる場面は少なかった。しかし、「DP2」は開放寄りだとボケ味が大きく、MFでシビアにピントを合わせるシーンが増えた。その際役立ったのがMFアシストだ。これはAFフレームで選択したエリアを拡大表示する機能で、MFダイヤルを使ったピント合わせが格段にやりやすくなる。ただ欲をいうと、拡大表示した状態で十字コントローラを使い、表示エリアを自由に移動できるとより快適だ。特に三脚使用時は拡大部分を手際よく移動できると助かる。一点気になったのは、液晶パネルのクオリティだ。応答性に乏しく、発色もすぐれない。これは「DP1」のときもいわれていたことだけに、改善されていないのは惜しまれる。デジタル一眼レフの液晶はプレビュー用途がメインだが、コンパクトデジタルカメラの場合はれっきとしたファインダーだ。カメラにとってファインダーの重要性は、改めて語るまでもないだろう。
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