婚活ブームに乗って台頭してきたのが、自分に有利になるよう離婚を計画的に進めるという"離活"(離婚活動の略)。特にアラフォー世代の女性に増えている という。「離活は必要ない!」という読者が多い方が嬉しいが、今回は知っておいて損はない、離活にまつわる素朴な5つの疑問について、「離婚110番」主宰で離婚カウンセラーの澁川良幸氏の回答を紹介する。
【疑問1】離活はなぜ増えているの?
澁川氏「女性の離活が急増している要因には、昨今の経済状況が大きく影響していますね。今までは突発的な浮気の発覚やDV(家庭内暴力)などがなければ、夫に対して色々と不満はありながらも、夫の給料だけを頼りに、なんとか我慢して結婚生活を送ってきた人が多かったものです。しかし、ここ半年から1年でその給料さえも危うい状況となり、また、将来への展望が見えなくなりました。
こんな状況下で女性は、もう我慢せずに離婚して養育費をもらい、自分自身で働いた方がストレスフリーで良いと判断したのです。子どもを連れて実家へ戻ることができる人や、仕事に就けそうな人は離活を始めていますね。特にアラフォー世代の女性たちが、経済の閉塞感に堪えられなくなり、離婚に向けて動き出しています」
【疑問2】離活って具体的にどんなことをするの?
澁川氏「離活というと、例えば『離婚カウンセラーに相談する』、『弁護士に相談する』、『家庭裁判所に相談に行く』、『浮気やDVなどが離婚原因の場合は、証拠を揃える、あるいは、作る』などが挙げられます。離活の期間は、1週間程度から数年に及ぶ人まで様々です。平均すると3カ月~6カ月程度でしょう。離活にかかる費用は、自分で行えばほとんどかかりません。弁護士や調査会社に頼るようであれば、数十万円から数百万円かかりますね。
離活における肝心なお金の問題については、自分のものは確保し、相手のものは洗い出しておくのが基本。預金は整理して、移せる現金は自分や家族の口座に移します(または、相手の預金を調べておきます)。同じ様に、資産やその他財産分与の対象となりそうなものは全て洗い出し、確保したり、裁判になる前に押さえておく必要があります。
その他には、別居の準備ですね。いきなり実家などへ戻るのも有りですが、別居先の住居を契約しておくと良いでしょう。また、離婚に向けて保険の解約手続きを準備しておいたり、子どもの転校手続きを進めておくなどが考えられます」
【疑問3】離活中のルールやマナーはある?
澁川氏「基本的にルールやマナーはないですね。むしろ、ルールやマナーを気にしては、離活はできません。とにかく、水面下で進めることだけを考えるべきですね。
特に離婚の切り札となる証拠集めは、慎重かつ大胆に進めなければなりません。相手の前では普段通りに生活しながら、相手がいないところでは、一生懸命に証拠を集めたり、預金を移したり、法律の勉強をしたり。そして、離婚後の生活のシミュレーションをするのです。
相手に悟られないように細心の注意を払いつつ離活を進めなければなりませんが、なによりも注意しなければならないのは、"人"を介した情報漏れです。子どもに話せば、確実に相手に離活をしていることが漏れます。また、共通の友人などはもってのほかです。さらに、相手の親や兄弟などの親族には、どんなに親切にされても話してはいけません。自分の親から漏れるケースだってあるのですよ」
後編では、「離活中に多い悩みは?」、「離活の成功の秘訣とは?」という2つの疑問について澁川氏に聞く。
「離婚110番」主宰 澁川良幸(しぶかわ よしゆき)氏プロフィール
人材派遣会社、出版社、通信機器販売などを経て、調査業を営んできた経験とノウハウを基に、1992年に神奈川県横浜市に離婚カウンセリング&コンサルティングのプロ集団「離婚110番」を開設。その後、2006年に東京都渋谷区へ移転、現在に至る。離婚カウンセラーとして、あらゆる離婚及び家庭問題のカウンセリングやコンサルティング業務、悩み事・困り事の解決業務を行っている。これまでに相談実績は15,000件を超え、年間にして1,200件超の相談に対応。法律面や心理面のアドバイスはもちろん、経験による実践的な対応に定評があり、多数の相談者に感動を与えている。WEBサイトは「離婚110番」。