メキシコを中心に世界的な広がりをみせ、27日には米国でも緊急事態宣言が出された豚インフルエンザ。GW本番ともいえる2日からの5連休を目前にし、外務省ではメキシコなど感染地域への渡航予定者に「渡航の是非について検討してください」と注意を促している。また、成田空港検疫所では今後、メキシコからの到着便については機内に検疫官が乗り込む形に検疫体制を強化する予定だ。

豚インフルエンザは、100人以上の死亡者が出ているメキシコのほかアメリカ、カナダ、メキシコなどでも感染が確認されたとされており、日本ではウイルスの国内侵入を防ぐため検疫・入国審査などの「水際対策」を強化している。外務省では27日、海外安全ウェブサイト上で、メキシコへの渡航予定者に「引き続き現地の最新情報の入手に努めつつ、事態が鎮静化するまでの間、渡航の是非について検討してください」と注意喚起。帰国時に高熱、咳症状があった場合には検疫所の健康相談室に申し出るなどの対応を求めた。

メキシコからの到着便が週4便ある成田国際空港でも検疫体制を強化。同空港検疫所総務課によると、普段は検疫所にあるサーモグラフィーを25日には到着ゲートにも設置し、メキシコからの入国者を重点的にチェックしたが、さらに次の便が到着する29日からは機内に検疫官が乗り込む形でサーモグラフィーによる体温測定を徹底し、検疫質問票も機内で集めるという。このレベルの対応はSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した2003年以来だという。メキシコからはアメリカやカナダ経由で入国する人も多いことから、これらの国からの便の搭乗者についてもサーモグラフィーなどで重点的にチェックしていく。検疫の強化に伴い、入国手続きに普段より時間がかかることも予想される。一方、感染地域への出国者に対しては渡航時のマスクの着用、手洗いやうがいの実施など注意事項を記したチラシを配布している。

政府は27日に開いた豚インフルエンザ対策に関する関係閣僚会合の政府対処方針として、検疫・入国審査の強化や、メキシコなどから入国した感染者や感染のおそれのある人への適切な医療処置といった4項目を挙げた。GWに海外旅行を予定している人は、渡航先の感染状況や外務省の海外安全情報などを十分にチェックしよう。場合によっては無理な渡航を避け、旅行を取りやめるなどの判断も必要かもしれない。