カシオ計算機より、1月末に発売されたコンパクトデジタルカメラ「EXILIM ZOOM EX-Z400」(以下「EX-Z400」)。その最大の特徴が、「ダイナミックフォト」と銘打たれた動画と静止画の合成機能だ。既報のように、高速連写で撮影した20枚の画像から動く被写体を切り抜き、別の静止画に貼りつけて合成動画として楽しむことができる。

「EXILIM ZOOM EX-Z400」。4月現在の実勢価格は2万円前後~3万円台後半

そのユニークな機能を最大限に活かすべく、3月に東京ドームシティ(東京都文京区)で行われたコスプレイベント「Newレイヤーズ★パラダイス」内に設けられたカシオブースを訪問。記事ではコスプレイヤーの皆さんの協力を得て作られた作品を紹介しつつ、EX-Z400の使用感をお届けしたい。

やってきました東京ドームシティ! こちらはメイン会場のプリズムホール。イベント直前の会場は体育館サイズのメイク室といったところ

ちなみに今回の記事の写真(製品画像以外)は、すべてこのEX-Z400を使用して撮影したもの。ダイナミックフォトが大きなウリとは言え、有効画素数1210万画素、3.0インチの液晶モニター、電池寿命は約550枚など、コンパクトデジカメとしての基本性能も申し分ない。当日現場で試用機をパッと渡された状態でも、とくに違和感は感じずに手軽にスナップ撮影することができた。

東京ドームシティアトラクションズ(旧・後楽園ゆうえんち)と言えば、特撮番組の聖地。スーパーヒーローたちの夢の共演も

コスプレのまま隣接した遊園地に行けるのはこのイベントならでは。休日だけあって家族連れや、野球ファンも入り混じり、仮装パーティ状態

ダイナミックフォトのブースではさっそく体験会がスタート。ちびっこたちも、わからないなりにカメラに向かってポーズ

撮影した作品は、カメラ内でも楽しめるが、来場者にはその場でCD-Rに焼いて手渡し。20枚分のJPEG画像として記録されるので、ネット上のデータ変換サービスでお好みの動画形式に変換してもらうという仕組み

こちらがオンライン上のデータ変換サービス「ダイナミックスタジオ」。携帯電話用やブログ用など、撮影した20枚のJPEG画像を様々なフォーマットの動画に無料で変換可能

人気アニメのヒロインに扮したコスプレイヤーの方にご協力をいただいて、ダイナミックフォト機能に挑戦

では、ダイナミックフォト撮影の流れを簡単に説明しておこう。まずは被写体の動きを撮影。つぎにその被写体のいない状態で背景だけを撮影すると、差分によって動いた被写体がキャラクターとして切り抜かれる。この切り抜かれたキャラクターを、別の静止画に貼り付けることで、合成した作品が完成、というのが基本的な流れ。体験ブースでも初めてこの機能に触れる人がほとんどだったが、スタッフの簡単な説明でスムーズに撮影は進んでいた。

とは言えコスプレ撮影と言えば、基本的に静止画で撮影されるもの。コスプレイヤーのみなさんにとって、アクションや演技が伴う動画撮影は不慣れなのでは……? と若干の心配もあったが、実際に撮影に立ち会ってみると、それはまったくの杞憂と判明。「みんな演技うまいじゃん!」というわけで、参加者のみなさんそれぞれが、かなりの力作を仕上げていた。

動画
動物の小物を撮った背景に合成すると、まるで『不思議の国のアリス』のようなシチュエーションが完成

先ほど外で集まっていたスーパーヒーローのコスプレチームのみなさんにも協力してもらいました。ブルーバック前で行われた撮影はまさしく特撮

動画
おなじみ変身ポーズをパルテノン神殿の背景に合成すれば、ギリシャロケ風!?
あらかじめカメラを動かしてイラストを撮影し、人物の写真を背景として組み合わせた例。つまり工夫すれば二次元のキャラクターと共演することも可能に!

こちらは「マルチモーション」機能を使った1枚。身体を動かさずに、腕だけ動かすと、動きがある部分だけが合成され、ご覧のように「百裂拳!」な写真が完成

公式サイトの作例にもあるように、ダイナミックフォト機能が子供やペットとの相性がいいのはもちろんなのだが、コスプレイベントでの体験会を通して感じたこととしては、アニメのキャラクターや特撮ヒーローといった、非日常の被写体ともかなり相性がいい。コスプレによる非日常の被写体を中心に据えることで、フィクションの世界を動画上で再現する新たな楽しみも増えるからだ。今回はあらかじめ用意された背景に沿った作品となったが、例えばビル街の画像にキャラクターを合成して巨大に見せたり、あるいは和風の背景に和風のキャラクターを合成したりと、応用の幅はまだまだ広がりそうだ。

午後の目玉はキックボクサーにして、日本最強のコスプレイヤー、長島☆自演乙☆雄一郎選手のトークショー

動画の長さは1秒~4秒まで、動く被写体の大きさは背景の4分の1サイズなど、いくつか制限はあるものの、コンパクトデジカメを活用した新機能としては、かなり「遊べる」ものとなっている。デジタルガジェット好きがいろいろ試せるのはもちろん、子供たちなど、多くのライトユーザーにとっては初めて触る、手軽な特撮・合成ツールになりそうだ。すでにカシオの公式サイトでは、投稿&閲覧用のコミュニティサイト「ダイナミックフォト広場」もスタートしているので、そちらの作品群もぜひチェックしてみてほしい。

隣の会場では、アニメソングに乗せたダンスパーティーを開催。おまけで、暗所でのフラッシュ撮影をテストしてみたが、明るさにムラがある場所でも、かなり遠くまではっきり写っている

動画
同じくダンスパーティー会場で、暗所での動画撮影を試してみた。悪条件下で無造作に撮っても、十分な動画が撮影できる