同システムについては、今後はまず全社への導入を目指し、ゆくゆくは外販も視野に入れている。また入退室管理に留まらず、勤怠管理や福利厚生との連携も想定しているという。

「入室資格の申請から発行までは、現状では拠点ごとに個別に管理していますが、これを全社的に統一します。そのワークフローではペーパーレスを実現し、大幅に省力化します。関連するバックヤード業務管理では、カードのライフサイクル、申請/承認の証跡、入退室記録を管理します。J-SOX法で求める入退室の証跡管理も、容易に実現できます」(生田氏)

エリアの特定により、来訪者や取引先の経路のみを解錠する動線管理も可能だ。福利厚生との連携では、社員食堂や売店、自動販売機での利用も検討している。

他の業種への展開では、学校や公共機関での利用者の安全管理や工場・倉庫での作業分析支援が考えられるという。同システムはハンズフリーで認証可能なため、児童・生徒が認証装置にかざすのではなく校門を通過するだけで、保護者への登下校通知が可能になる。また公共施設のバリアフリー化の支援として、タグ保持者の接近を自動認識してアナウンスを流したり、危険な箇所に近づいた場合に警告したり、滞留時間を検知してタグ保持者に、例えば急な病変など不測の事態が起きていないかを把握できる。

作業分析支援は、動線管理の応用ともいえる。個々の作業者にタグを持たせ、作業におけるエリア移動を把握することで、より効率的なワークフロー確立のための分析資料となる。

コスト面の解決が普及へのカギ

同社が本格導入を進める中では、既存システムからの移行に関する社員への浸透などの課題もあるが、最大のネックはRFIDの価格だという。

「RFIDがもっと安くなると、例えば物流におけるパレットやベルトコンベアなどのマテリアル・ハンドリング(マテハン)機器での導入が進み、RFIDの普及に弾みがつくと思います」(生田氏)

なお、システムとしてはRFID以外のICカードにも対応可能とのことだ。

社外からの問い合わせではハンズフリーでの認証やエリア特定に対するものが多く、動線管理や居室の在席確認を含むよりセキュアなオフィス実現など、同システムに関心を寄せている企業もあるという。

今後同社は自社への導入を事例として、建築会社や不動産デベロッパー、オフィス什器メーカーなどと連携しつつ、既にICカードによる入退室管理システムを導入している企業を中心に訴求していく予定だ。