実際の認識動作はこうだ。制限区域のドア前後にはトリガーエリアとして、微弱な電波による磁界を設置する。セミアクティブタグの保持者がトリガーエリア内に入ると、カードIDと電池残量、現在のトリガーエリアのIDを発信する。これにより正しい入室資格があると認証されれば、解錠される。
トリガーエリアの床下には、ループ状の薄いアンテナが設置される。床面に露出させる必要は無く、電波を遮蔽しない材質であればカーペットの下などへの設置も可能だ。認識速度は速く、一般的な自動ドアを通る感覚で歩けば妨げられることなく通過できる。入退室管理を意識させない自然さともいえる。
認識のための電波は微弱であり、トリガーエリアはドアの内側と外側の両方に設置できる。これにより、入室か退室かの方向検知も可能なのだ。トリガーエリアの脇には、入室の許可/不許可を示すパトライト(表示灯)を設置。これはシステム上必要ないが、社員から認証されたかどうかわかりづらいとの声があったため(生田氏)、設置したという。
タグをポケットや鞄の中に入れたままでも通過でき、両手が荷物などで塞がっている場合でもそのまま通れるため、社員からは好評とのことだ。
RFIDは狭い範囲での検知が可能なため、入退室管理に加えて所在エリアの検知もでき、動線管理へも応用できるという。タグ不保持者への対処が気になるところだが、「例えば人数を把握できる画像認識システムや赤外線装置など、他のシステムとの併用で対応は十分に可能です」と、生田氏は自信を示す。
認証のためのID関連情報はセンターで管理すると同時に、各拠点にも配信する。「これにより、万一ネットワークに障害が発生しても、入退室には影響しません。拠点で保管したデータはネットワーク障害の復旧後にセンターへ送信するため、管理上の支障も生じません」(生田氏)