NTTコムウェアは1月29日に、セミアクティブタグを利用する自社開発の「RFID入退室管理システム」を全社的に導入すると発表した。まずは首都圏の2拠点3,000ユーザーを対象に導入を始め、2010年度までにグループ企業を含め全22拠点3万ユーザーに拡大する計画だ。
今回、同システムの現状と今後について、同社エンタープライズ・ソリューション事業本部 RFID推進室の生田直樹氏に、デモを交えつつ話を聞いた。
現在同社では、入退室管理にICカード社員証、警備員や社員による目視、生体認証の各方式を拠点や区域により併用している。RFID入退室管理システムの開発には、社内からのさまざまな要望があったという。
「まず第一に、管理の厳密化と利便性の両立がありました。つまり、昨今のセキュリティ強化の流れの中で、入退室管理をより厳密に管理したい、その一方で混雑時などにもスムーズな入退室を実現したいという要望です。現状では、出退勤時や昼食時などには混雑してしまいますし、区域ごとの入室制限も煩雑になっています。第二は、効率的な管理業務の実現です。現在は拠点ごとに入退室管理を行っており非効率なため、これを一本化して管理業務の効率化を図りたいとの声が強まっていました」(生田氏)
RFIDをベースとしたことには、これまで同社が蓄積してきたRFIDシステムや大規模ネットワークシステムの開発・運用ノウハウも一因だという。
「例えば、8百貨店25店舗における婦人靴の商品管理やデータセンターの動線管理、文書管理、児童の安心・安全管理など、既にRFIDを用いた実証実験や商用利用の経験を豊富に持っています」(生田氏)
さらに、RFIDの国際標準化団体であるEPCglobalにいち早く参加し、商品化に活かしている。大規模ネットワークシステムに関しては、NTTの電話交換機ネットワークシステムの構築で5,000万顧客を支えたという実績もある。
では数多く存在する認証方式の中で、なぜRFIDを選んだのか。そして、なぜセミアクティブタグなのか。
同社では当初、鉄道などで採用されているICカードを含む各方式を検討したということだが、最終的にはRFIDに行き着いたという。その決め手は将来性だ。同社は今後、RFIDベースのシステムでビジネスを考えており、その手始めとして自社での入退室管理システムに導入したのだ。
タグの主な方式にはアクティブタグ、パッシブタグの2種類が存在し、セミアクティブタグはアクティブタグとパッシブタグ双方の長所を持つという。
「最大のメリットは、電池寿命にあります。アクティブタグでは常時電波を送信するため電池は2~3年といったところなのですが、セミアクティブタグでは必要に応じて送信するので電池の消耗が遅く、利用方法にもよりますが7年程度の電池寿命があると見込んでいます。パッシブタグと比べた場合は、読取装置にかざす必要が無いのが大きなメリットです。アクティブタグもかざす必要は無いのですが、セミアクティブタグではトリガーエリア(認証するためのエリア)を限定できるため、共連れを含めた高精度の入退室記録を自動収集するなど、より厳密な管理を実現できます」(生田氏)