すでに新聞や各種媒体でも報じられている通り、4月1日からいわゆる「新グリーン税制」が施行された。この措置により、4月1日以降、平成24年度(2012年)までの対象車を新車で購入した場合に、平成24年までの3年間の限定で自動車取得税と自動車重量税が減額されるという措置だ。今回は、この「新グリーン税制」についてまとめてみた。なお、ここでは車両重量3.5t以下の自家用乗用車および軽自動車についてのみの解説している。

新グリーン税制とは?

報道発表などでは、「新グリーン税制」や「平成21年度新グリーン税制」などと書かれることも多いが、これは正式名称ではなくいわば「通り名」のようなもの。さらに、自動車メーカーなどのホームページでは、「環境対応車普及促進税制」とも記述されていたり、経済産業省の資料では「自動車重量税・自動車取得税の時限的減免」と記述されているケースがあるが、一般的にはこれらはすべて同じものを指している。国土交通省に問い合わせたところ、特別な名称は設けていないが公式には「自動車重量税・自動車取得税の特例措置」という名称が利用されているという。ここでは一般に広く使用されている「新グリーン税制」という言葉を使用する。

上が平成17年度排出ガス基準、下が平成22年度燃費基準の適合ステッカー

なお、グリーン税制といえば、本来は環境に優しいクルマの税金を減免して優遇するというものだが、今回の税制措置は昨今の経済不況も鑑みて、新車販売を促進するものとなっている。環境だけを考えれば、クルマなど買わずに公共機関を使うのが環境に最も優しいということになるのだが。

なお施行期間は、平成21年4月1日届け出分から開始されるが、終了時期は自動車重量税が平成24年4月30日、自動車取得税が平成24年3月31日までとなっている。なお、施行期間は3年を越えるため4月中に登録されたクルマは、期間中に第1回の車検を受けることになるが、減額されるのはこの期間中1回だけとなるため、初回の車検時には通常額の税金を支払うことになる。

新グリーン税制では取得税と重量税が最大100%減額

新グリーン税制が適用されるのは、おおまかに分けると、電気や天然ガス、ハイブリッド、クリーンディーゼルなどの次世代自動車と、ガソリンエンジンで低燃費を実現したクルマのうち、平成21年度排出ガス基準に適合したクリーンディーゼル車と、平成17年度排出ガス基準が☆☆☆☆(排出ガス75%低減レベル)で、かつ平成22年度燃費基準が+15%以上のものが対照となる。

減額率は、次世代自動車すべてが取得税、重量税ともに100%免税で、低燃費車のうち平成22年度燃費基準+25%達成車が取得税、重量税とも75%減額、同15%達成車が50%減額となる。対象車種と減額率の一覧表は以下の通り。この表を見ると、同じ条件のハイブリッド/プラグインハイブリッド車と、ガソリン車でも、減額率が異なっていることがわかる。なお。自動車排出ガス規制値は、日本自動車工業会で車重ごとに定められている

新グリーン税制の車種別割引率

念のため、自動車取得税と自動車重量税についておさらいしておこう。自動車取得税とは、その名の通り自動車を取得した時にかかる税金だ。電気・天然ガス・メタノール自動車の場合で普通車が2.3%、軽自動車で0.3%、ハイブリッド自動車の場合普通車で2.8%、軽自動車が0.8%、それ以外の自動車つまりガソリン自動車などは普通車で5%、軽自動車では3%となっている。自動車重量税は、自動車購入時と車検時に支払う税金で、用途と車重によって異なってくる。自家用の場合0.5tにつき1年6300円と定められているため、1.5tで2年分の場合には3万7800円となる。

ハイブリッド車では多くのシェアを占めるトヨタ「プリウス」

200万円を切る戦略的な価格で話題になったホンダ「インサイト」

新グリーン税制に唯一適合するクリーンディーゼル。日産「エクストレイル GT20」

自動車税は平成20年度の自動車税のグリーン化が継続施行

なお、今回のグリーン税制では毎年4月1日付けで課税される自動車税は対象とはなっていない。これについては、「自動車税のグリーン化」として平成20年度に施行されている。平成20年4月1日から平成22年3月31日までに新規登録した、電気自動車(燃料電池車含む)と天然ガス自動車および、環境負荷の小さいクルマでは登録翌年度の自動車税が平成17年度排出ガス基準☆☆☆☆で平成22年度燃費基準+25%以上達成で概ね50%減額、同平成22年度燃費基準+15%以上達成で概ね25%減額される。

自動車税のグリーン化

どのクルマが新グリーン税制に対応してる?

では新グリーン税制ではどのクルマがどのくらい減額されるのか。4月1日の新グリーン税制適用以降、各自動車メーカーでは一斉に対象車種を掲載した特設ページを用意、新グリーン税制施行前後の差額も掲載してオトク感をアピールしている。なお、三菱自動車とマツダでは4月9日現在特設ページは用意されていない。

なお、4月9日現在では国産の普通自動車で電気自動車や天然ガス自動車、プラグインハイブリッド車は市販されていないため、該当車はない。また、クリーンディーゼル該当車は、日産エクストレイル20GTの1台のみ。ハイブリッド車は、早くから多くのハイブリッド車を手掛けてきたトヨタが最も多く、レクサスブランドを含めると免税対象車がエスティマハイブリッド、クラウンハイブリッド、ハリアーハイブリッド、プリウス、LS600h/LS600hL、GS450h、RX450hと7車種で、5月中旬には新型プリウスの発売も控えている。ホンダはインサイトとシビックハイブリッドの2車種が免税対象となる。

レクサスブランドの最高級ハイブリッドカー。レクサス「LS7600hL」

グランドツーリングモデル。レクサス「GS450h」

ハリアーにルーツを持つハイブリッドプレミアムSUV。レクサス「RX450h」

新グリーン税制は、グリーンというよりは景気回復のための税制の色合いが強い。また、ハイブリッドであるというだけで、決して燃費がいいとはいえないクルマに適用され、元々排気量が少なく燃費のよいクルマが優遇されないなど、制度としての矛盾点も抱えている。しかし、切実にクルマを必要とする消費者としてはクルマが安くなるのは純粋に歓迎できる出来事だ。

プラグインハイブリッドや電気自動車などは、現在適合車種は発売されていないが今後3年でそうしたクルマは間違いなく登場してくるだろう。100%免除車も今はそれほど多くはないが、今度確実に増えてくるのは間違いない。今すぐにクルマを買い替える必要がなくても、3年間は新グリーン税制の措置は適用できるので、こうした税制措置をうまく使ってオトクにクルマを買ってほしい。

クラウンもハイブリッドに

プリウスに次いで登場したミニバン初のハイブリッドカー「エスティマハイブリッド」

SUVもハイブリッド化された「ハリアーハイブリッド」

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