現在放送中であるWOWOWの連続ドラマW『空飛ぶタイヤ』(毎週日曜 22:00~23:30 全5話)。池井戸潤の同名小説を原作に、実際に起きたトラックのタイヤ脱落事故をめぐる自動車会社のリコール隠しを描いたドラマだ。事故の責任を押し付けられ、リコールを隠し続ける自動車会社と闘う運送会社社長を主人公に、彼の周囲や逆に自動車会社の人々の姿を描くなど、それぞれの立場における責任や正義をとらえた社会派ヒューマンサスペンスである。

『空飛ぶタイヤ』

今回は、同ドラマに出演する仲村トオル、田辺誠一、萩原聖人、水野美紀、國村隼に同ドラマの見どころなどを聞いた。

仲村トオル

主演の仲村トオルは、小さな運送会社の赤松運送を経営する赤松徳郎役。会社のトラックによる死傷事件の原因を整備不良と決め付けられて刑事の高橋(遠藤憲一)から執拗の捜査を受けるが、雑誌記者・榎本(水野美紀)の情報提供などから、事故の原因は製造元のホープ自動車にあると断定し、巨大組織のホープ自動車に立ち向かって行く。

仲村トオル「徳郎は、潔白の証明、冤罪であるということを主張するしか選択肢がなかったんだと思いますね。小さい会社だからということで、負けを認めたり泣き寝入りしないところが徳郎にはあります。やることをすべてやろうとしたんだと思いますね。それぞれの立場における正義があって、それぞれに守らなければいけないものがある。本当にそれぞれの登場人物が懸命に生きている姿とか守るべきものを守ろうとしている姿が、この作品を充実したというか厚みのあるものにした大きな要素ではないかと思いますね」

田辺誠一

田辺誠一が演じる沢田悠太は、ホープ自動車のカスタマー戦略課長。ホープ自動車に問題があるという赤松の問い合わせを突き放す一方、狩野常務(國村隼)を中心としたリコール隠しを検討するためのT会議という秘密会議の存在を知り、同僚の小牧(袴田吉彦)らとともにT会議の情報を掴んで専務・狩野一派の追い出しを謀る。

田辺誠一「利己的なことへの追求や競争というのは社会の中にあると思います。僕も含めて誰しもが選ぶ可能性が十分あるような選択(リコール隠し)をしていくのがホープ自動車という大きな企業なんですね。ただ、ドラマの登場人物には感情移入ができるんです。ストーリーを進めていくために、ある登場人物のキャラクターを曲げたりすることがよくありますが、今回は曲げていない。ですからどの人物を見ても共感できます。その中で登場人物の誰かを応援してシンクロすることで楽しんで頂けるかと思います」

萩原聖人

萩原聖人演じる井崎一亮は、ホープ自動車のメインバンクであるホープ銀行の融資担当調査役。友人の雑誌記者・榎本からホープ自動車内に疑念があることも知らされ、経営努力の足りないホープ自動車への融資判断に頭を悩ませる。さらに、銀行専務の巻田(西岡徳馬)と狩野は旧知の仲で、婚約者の香織(ミムラ)は狩野の姪という関係上、圧力を受けるのだった……。

萩原聖人「しがらみや立場がそれぞれあるの中で、自分の心の奥に"カギ"をかけていることが思うんですが、普段はその"カギ"がかかっている扉みたいなものを自分で開けていくというか。自分の生き様とは何か? という、人間・井崎としても戦っていく役柄です。ドラマWならではの作品ですよ。バラバラな人たちがバラバラな立場で凄く面白くシンクロしています。そんな群像劇というものを見ていただけるといいですね」

水野美紀

赤松運送が起こしたような事故が全国各地で起きていることを赤松に告げる雑誌記者の榎本貴和子(水野美紀)。ホープ自動車内の協力者を得ながら、友人の井崎や事件の全貌を知る狩野に取材をかけ、リコール隠しを続けるホープ自動車に巣くう問題の真相に迫っていくことになる。

水野美紀「貴和子は凄く熱い正義感を秘めている人。でもそれが前面に出ないというか、『そんな行動に出るの?』と意外に見えるよう心掛けて演じました。見どころは沢山ありますね。赤松運送という小さな会社の社長である赤松という人物が、大きな企業を相手に闘いを挑む姿と、その姿を見た周りの人たちに色んな気持ちの変化が起こり始めるという人間ドラマの部分、そのあたりが最大の見どころだと思いますね」


國村隼

リコール隠しを検討するためのT会議を組織するホープ自動車専務の狩野威役には國村隼。部下の室井(相島一之)らを使って狩野派を形成し、全てを闇に葬り去ろうとする。その一方で、ホープ銀行に旧知の仲である巻田や姪の婚約者・井崎に圧力をかけて巨額の融資を手にしようとする。

國村隼「狩野さんにも守るべきものがあるんですね。その守るべきもののために小さい者を全部ひねりつぶしていくという方法論を使ったことが、この人自身の中にある驕りというか、それが間違いなんだと思います。組織というのは、そこに帰属する個人の思惑とは別の論理で動いてしまう。組織が巨大であればあるほど、個人のレベルでコントロールしようと思ってもなかなかできない。その怖さみたいなものは、雪ダルマのように転げ落ちていく感じで実感してなりません。それを止めることが出来ない怖さを、見ている方にわかってもらえばと思います」

4月11日放送の第2話ストーリー

タイヤ脱輪による死傷事故により、大手の取引先から取引停止の連絡が入り、窮地に陥る赤松運送。そこで赤松は、自分たちで事故調査を開始するべく、ホープ自動車の沢田に部品のハブの返却を求めるが、沢田は赤松の要求を退ける。その一方、沢田は自社のリコール隠しを確信し、同僚の小牧(袴田吉彦)と共に証拠を探し始めるが……。

連続ドラマW『空飛ぶタイヤ』は、WOWOWにて毎週日曜(22:00~23:30)に放送中。