4月15日の米国の納税期日を前に米消費者の税金への関心が高まる中、米Microsoftが「What Price Cool?」という調査レポートを紹介している。Macユーザーが"クールなApple製品"を使うためにPCユーザーよりも多く出費している、いわゆる"Apple税"を算出したものだ。一昔前に比べるとMacとPCの価格差は縮まっているものの、パソコンのライフタイムを5年間と考えて、4人家族の出費を比べるとApple税は3,367ドル(約33万円)になるという。調査レポートはMicrosoftがスポンサーとなり、Endpoint Technologies AssociatesのRoger Kay氏がまとめた。
レポートは4人家族の1世帯でノートPCとデスクトップを1台ずつ購入し、メモリーやストレージ、周辺機器、グラフィックスカード、ソフトウエアなど、5年間のアップグレード・コストも加えた総計を比較している。比較対象のパソコンはPCがDell Inspiron 15とHP d5100t、MacはMacBookの999ドルモデルとMac Proだ。PC側にはオンラインサービスやソフトウエアのアップグレードコストは加算されていないが、Mac側にはMobile Meが149ドル×5年、iLifeアップグレード1回(99ドル)、Mac Office(Home and Student: 149ドル)、Quicken for Mac(70ドル)などが含まれる。サポートサービスはPCがDellの3年保証で190ドル、MacはAppleCareが249ドル。4年目にBlu-rayドライブを導入しており、PCは内蔵ドライブで95ドル、Macは外付けで300ドルという違いがある。それらを合計した5年間の費用はPCが2,693ドル、Macが6,060ドル。レポートは「Macは確かにクールだが、5年間で3,367ドルのプレミア? それはクールではない!」と結んでいる。
このレポートを受け取ったMicrosoftのBrandon LeBlanc氏はWindows Experienceブログで、3,367ドルあれば、家族4人が117回も映画(チケットの平均価格: 7.18ドル)を観に行けると指摘。差額を一般家庭向けソーラーキット(2,319ドル) や、暖房費を35%節約できるというAndersen製の窓枠(1セット140ドル)などに使えば、節約の幅がさらに広がるとしている。
"目に見えないApple税"という切り口は耳目を引くようで、レポートは様々なところで話題になっている。ただ、中にはKay氏の比較に疑問符を付ける声も多い。例えば、一般家庭の利用シナリオならばMac ProではなくiMacクラスで比較するのが適当という指摘がある。またMacのみにマンツーマンサポートで99ドルが加算されているが、PCユーザーがBEST BUYのGeek Squadのようなサービスを利用したら数百ドルのコストになる。MobileMeもGoogleのサービスなどを使えば必要ない。実際にユーザーが支払っているコストという点では様々な意見があり、中には低コストを強調したいスポンサー(Microsoft)の意向がレポートに強く反映されているという厳しい意見も見られる。
Microsoftは3月末から米国で、PCユーザーが受け取る価値の高さをアピールするマーケティングキャンペーンを展開している。例えば一般消費者に1000ドルまたは1500ドルの購入資金を渡して実際にノートPCを選んでもらい、その様子を「ノートPCハンター」というテレビCMにまとめて提供中だ。参加者はAppleストアを含むいくつもの小売店で実際にノートPCに触り、機能、価格、使い勝手、用途など様々な角度から検討した上で、PCの中から理想的なパソコンを見つけ出している。リアルユーザーが同キャンペーンのポイントであり、今回のレポート紹介もその一環と言える。