KDDIと沖縄セルラーは、外部デザイナーとコラボレートし、ユーザーの暮らしをデザインする商品を提供する新ブランド「iida」において、携帯電話を現代アートへと一変させる試み「Art Editions」を展開する。7日に行われたiidaの発表会で、草間彌生氏による3作品を発表した。

草間彌生氏は、水玉で覆い尽くされた強烈な色彩の作品を創り出す前衛芸術家。今回発表された3作品はいずれも過去に制作された作品を原型としており、緻密な手作業や高度な印刷技術を駆使することで、携帯電話としての機能性を損なうことなく"アート"的なクォリティを実現。高価な携帯電話は過去にもブランドとのコラボレーションなどによる例があるが、同シリーズはただ高いだけではなく、アートとしてのクォリティと永続的な価値を持った「作品」として提供することをコンセプトとしている。

ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい

赤地に白いドットで埋め尽くされた箱。側面にあるスコープを覗き込むと、箱の中に貼られた鏡により無限に広がるドットの渦が見え、その中にドットと突起に埋め尽くされた携帯電話が。モチーフとなったのは1965年に発表された「Infinity Mirror Room-'Phalli's Field(無限の鏡の間-ファルスの野)」。箱の中ではドットの中に存在を消滅させている携帯電話だが、手に取った瞬間に独特の存在感を放つ。携帯電話と箱型の置き台がセットになっており、作品にはエディションナンバーと草間氏の直筆サインが入る。

私の犬のリンリン

ハッピーなカラーリングの犬「リンリン」は、背中に同じ柄の携帯電話を収納する置き台になっている。この作品のモチーフとなったのは、鮮やかな色柄の少女と犬のオブジェによるインスタレーション「Hi! Konnichiwa (Hello !)」(2004年)。このカラーとユニークな表情で、見る人を"しあわせな気分にさせる力を持っている"という作品。エディションナンバーと草間氏の直筆サインが入る。

宇宙へ行くときのハンドバッグ

モチーフとなったのは、1985年に制作されたシルクスクリーン(版画の技法)作品「Handbag」。これを立体作品として再現し、携帯電話をハンドバッグに仕立てたという新しい提案だ。ビビッドピンクと白を中心にした可愛らしく力強いデザインと、意外な二つ折りの機構が、新鮮でありながら親しみやすい印象を与える。作品にはエディションナンバーが入る。

正式な価格はまだ発表されていないが、「ハンドバッグ」が10万円台、他2作品は100万円前後で検討されているようだ。販売時期、販売方法などはiidaサイトに掲載される予定。