インタビュー中に緑茶をオーダー。かなり気に入ったようで、お土産に玉露入り緑茶を購入したそう

『24-TWENTIY FOUR-』や『プリズン・ブレイク』が次々とブレイクを果たした現在の日本は、空前の海外ドラマ・ブームの真っ只中。その原点といえるのが、日本で最も成功した海外ドラマ『X-ファイル』だろう。

本作のシリーズ1~9のレンタル総売上は何と200億円以上で、この記録は未だ破られておらず、まさに海外ドラマ界の金字塔と呼ぶにふさわしい作品なのだ。この度、『X-ファイル』<劇場版>最新作の発売をPRするため、『X-ファイル』シリーズの生みの親であり、本作の監督も務めたクリス・カーターが16年ぶりに来日。撮影の裏話や気になる最新作について、お話を伺った。


――昨年9月に極度の疲労と不眠症で入院されたそうですけど、具合はいかがですか?

クリス・カーター(以下:クリス)「本作の作業で徹夜が続いてしまって……昼間も眠れなくなり、体調を崩したので入院したんだ。今は回復して元気になったよ」

――モルダー役のデイビッド・ドゥカブニーは、あなたのことを完璧主義者だと語っていますが、そう聞いてどう感じますか?

クリス「彼が言っているのは、本当だよ。だから、眠れなくなったんだ。すべて完璧にしたいと思う性格だからね。僕らは雪が降っている中、3週間も撮影を行ったから、体が冷えないように暖かさを保たなければならなかった。ただでさえ撮影はハードなのに、雪だと大変さは10倍増しになる。スタミナをキープし続けることに苦労したね」

雪降る中、過酷な撮影が行われた

――撮影後、デイビッドとはプライベートで何か交流がありましたか?

クリス「彼は1年に数ヶ月ほどLAで仕事をしているから、よく会っているよ。一緒にテニスをしたり、食事をしたりすることもある。僕はマリブに住んでいるんだけど、彼もTVの仕事が忙しくなったらここらへんに住みたい、と話していたな」

――それでは、ジリアンとの関係は?

クリス「彼女は、パートナーであるマーク・グリフィスや子供たちと一緒にロンドンに住んでいる。距離がネックになって、直接会う機会は少ないけど、定期的に連絡を取り合っているよ」

――モルダーとスカリーという対照的なコンビのアイデアは、どこから思いついたのですか?

クリス「彼らのモデルがいたわけではないんだ。普通、登場人物に男性と女性がいると、男性は超常現象に対して懐疑的、女性が肯定的という設定になる。スカリーは医師ということもあって、僕らは敢えてそれを反対にした。この発想の転換が成功の理由かもしれないね」

このコンビの復活はファンがずっと待ち焦がれていた

――あなた自身は、死後の世界を信じますか?

クリス「もちろん信じているよ。計り知れない神秘がそこにあると思う。僕は無意識がその世界につながる鍵だと考えている。僕らは全員、何か大きな力でつながっているはずだよ」

――幽霊を見たことは?

クリス「残念ながら、まだないよ。見たいと思っているけどね。生きているうちは、会う機会がないのかもしれないな。エイリアンにも会いたいよ」

――『X-ファイル』の続編をまた作りたいと思いますか?

クリス「まだ分からない。この映画を作らないかと持ちかけられた時も少し迷いがあったんだ。TVシリーズが終わってから6年も経っていたからね。でも20世紀FOXは"今やるべきだ"と言ってくれたし、ファンの熱烈な要望もあって決断したんだ。今後に関しては、白紙の状態だよ」

カメオ出演した病院のワンシーンでは、愛犬の遺灰が入った壷を手にしているとのこと。見逃した人はDVDでチェック!

――『X-ファイル:真実を求めて』 (2008) 同様、監督・脚本・プロデュースを手がけるプロジェクト『フェンスウォーカー』(原題)(2009) について教えて下さい。

クリス「僕が脚本を書いて監督もしようと思っていた映画だ。少し撮影もしたけど、アイデアを練りたいということもあってしばらく休止している。公開は、まだ先になると思うよ」

――本作は、あなたの半自伝的作品だという噂もありますが。

クリス「それは違う。僕が生まれ育ったロサンゼルス近郊のベルフラワーで撮影したから、そういう噂が出たのかもしれないね」

――キャリアをスタートさせた当初、影響を受けた人物や作品は?

クリス「映画と脚本の両方を手掛ける人に注目していたよ。例えば、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)のスティーヴン・スピルバーグ。この映画のように、観客が喜ぶようなエキサイティングなものが作りたいと心底思ったね。デヴィッド・リーンの『大いなる遺産』(1946)も大好きな映画だ。最近だと、スティーヴン・スピルバーグの『ミュンヘン』(2006)に感銘を受けた。本に関しては、たくさんあり過ぎて名前を挙げられないくらいだ。僕が今後映像化したいと思う作品は、山ほどあるんだよ」

完璧主義者と聞いていたため、気難しい人だったらどうしようと不安に思いながらインタビュー・ルームで待機……。そこに現れたクリス・カーターは優しい笑顔の穏やかな紳士! レストランやホテルでの日本人の丁寧な接客振りに恐縮していた、というエピソードがあるのも頷けるほど、偉ぶらない控えめな人柄が印象的で、丁寧に質問に答えてくれました。今回の来日では東京の明治神宮や京都の八坂神社など日本のパワースポットを巡り、日本の食文化を存分に堪能していたとか。次回作は日本が舞台……なんてこともあるかも!?

PROFILE

Chris Carter

1956年10月13日生まれ アメリカ、カリフォルニア州ベルフラワー出身 52歳

ジャーナリストとしてキャリアをスタート。1985年、ジェフリー・カッツェンバーグに抜擢され、ディズニーのTV映画『The B.R.A.T. Patrol』('86)で脚本家デビューを果たす。一大ブームを巻き起こした『X-ファイル』('93-'02)では、ゴールデン・グローブ賞を5回獲得し、高い評価を受けた。『X-ファイル』以降、アメリカのTVドラマのクオリティは格段に向上したと言われており、今も多くのドラマに影響を与え続けている

撮影:神戸健太郎

DVD『X-ファイル:真実を求めて』は20世紀 フォックス ホーム エンターテイメントより4月2日セル&レンタルリリース

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