モーションポートレートによって生成されたアニメーションは、動きの大きな動画に当てはめることもできる。先に挙げた九州電力のキャンペーンなどはこれを活用した事例の一つだが、同社はそのほかにも、携帯電話でやりとりされるアニメーションなどへの展開も図っている。

サンタクロースがダンスする映像にサンプル画像を当てはめている。ダンスの最後には「Merry Xmas!」というメッセージも表示される。こういった映像をCGで作成するには膨大な時間が必要になるが、モーションポートレートなら数十秒で合成処理が完了し、すぐに再生することができる。新規の動画に当てはめる際にも数日の作業で終えられるという

ハリセンで叩かれる人の顔にサンプル画像を当てはめている。叩かれると泣きだしそうな顔になり、「ゴメンナサイ」というメッセージが表示される。上の画像はPC上で行ったデモの模様だが、このサービスは同社の携帯サイト「モーションポートレート・パーク」で無料提供されている

ドラマ風の映像にサンプル画像を当てはめた例。社内でOLを口説くイケメン男性社員を成敗する役を演じている。成敗後には、ある決め台詞が吐かれる。こちらもモーションポートレート・パークで無料提供されている

頭から出てきた本心の自分がメッセージを伝えるデモ

なお、同社のWebサイトでは現在、往年のバラエティ番組「オレたちひょうきん族」で島崎俊郎が扮していたアダモステ(通称、アダモちゃん)に自分の顔を当てはめることができる特別サービスも展開している。

モーションポートレート・パークでは、現在、アダモちゃんに合成できる特別サービスを展開中

モーションポートレートを活用した携帯電話向けのサービスは、ソネットエンタテインメントと宝島社が運営する「ヘアスタ」でもサービスが展開されている。こちらは静止画になるが、宝島社発行の「InRed」など各女性誌に掲載された1500点以上のヘアスタイルを試したり、ワタベウェディングやJUNKO KOSHINOのウェディングドレスを合わせたり、野菜と自分の顔を組み合わせたりといったことが行える。興味のある方は試してみるとよいだろう。

サンプル画像

ヘアスタの「おもしろ変身」で合成した結果。左は小猿と、右はブロッコリと合成している。このほかにもさまざまな要素が用意されている

サンプル画像

ヘアスタの「ヘアスタWedding Special」で合成した結果。このほかにもさまざまな要素が用意されている

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以上、モーションポートレート技術の概要について、デモの様子を交えながらお伝えしてきた。

モーションポートレートは、非常に活用用途の広い技術である。ご覧いただいたとおり、携帯メールによるコミュニケーションを活性化するツールとして使われる一方で、Virtual Previewをはじめとしたビジネス向けのサービスでも多く利用されている。わずか数秒で写真や絵に息吹を与える同技術は、新しいサービスの創造にも大いに役立つはずであり、今後はビジネスシーンで見かける機会がさらに増えていくだろう。

本稿では静止画でしか紹介できず、魅力の半分もお伝えできていないように思う。ぜひとも、モーションポートレート・パークなどを訪れ、その技術を"堪能"してほしい。