買収実現の可能性だが、重複部分が多い合併ながら差し迫った事情もあり、筆者の予想では五分五分といったところだ。IBMが最有力買収先候補である一方、DellやHPと話が進む可能性もあり、余談を許さない。また、米Cisco Systemsがデータセンター向けサーバ市場への参入を表明しており、Sunを取り込むことでIBMがCiscoを牽制する可能性も高い。

だが、買収交渉がスムーズに進まないという指摘もされている。その理由の1つが独占禁止法だ。前述のようにUNIXサーバやストレージ分野で市場シェアが7割近くに到達することで、政府の監督官庁の許可が下りないおそれがある。また、富士通との提携のような特殊な販売ライセンスを結んでいるケースでは、知的財産の保護や販売面でトラブルが発生するかもしれない。WSJでは、Sunの製品ライセンス関連の書類審査にIBMが膨大な時間を要することになるという関係者の話を紹介している。Sunはさまざまな製品をオープンライセンスで公開しており、GPLベースのものもあれば、それ以外のライセンスを使用しているケースもあり、この審査に非常に手間取るというものだ。

いずれにせよ、この取引が成立すればHPのCompaq買収に匹敵するインパクトを業界に与えるだろう。買収が困難なのもインパクトの大きさの裏返しと言え、IT業界は大手を中心に収斂された、より成熟した市場へと変貌していくだろう。