イオンでは、通常の店舗とは別に環境に注力した「エコストア」を展開しており、2005年にオープンした愛知県千種店を第一号として、イオンレイクタウンで7店舗目となる。ここは、さまざまな技術やアイテムを取り込んだ最先端のエコストアだ。
イオンレイクタウンでは、通常のイオン店舗と比較して20%、9000二酸化炭素トンのCO2を削減することを目標にしている。内訳は、熱源システムにより72%、照明関連制御により11%、空調機制御により11%、冷ケース制御により3%、太陽光発電により2%、その他により2%だ。
イオンレイクタウンのさまざまな環境への取り組みの中で、もっともCO2の削減効果が高いのが、熱源システムだ。これは、館内の冷房用の冷水をつくるシステム。このシステムには、自家発電システムであるガス発電の廃熱を利用した温水、太陽光による温水などが利用される。これらを熱吸収冷温水機で熱交換を行い、冷水をつくる。熱吸収冷温水機は、中を真空状態にして水の蒸発温度を下げ、気化熱により冷水を作り出す。
実は、イオンレイクタウンには暖房設備はない。それは、必要性がないからだという。北瀬氏によれば、最近の建物は機密性が高く、断熱効果が高いため、人や照明、エスカレータのモータなどからの排熱で、冬でも十分な温度が確保できるのだという。暖房設備を持たないのは、最近の店舗では一般的なことで、イオン札幌店では、真冬でも冷房を使用することさえあるという。したがって、熱源システムがCO2の削減に大きな効果があるわけだ。 また、冷水はターボ冷凍機という装置でも作成され、ここで利用される電力は、ガス発電装置と東京電力のいずれも利用可能なことから「ハイブリッド式」と呼ばれている。ハイブリッド式の導入は国内初の試みだという。ガス発電機は、1台あたり920kwhの発電能力があり、これが6台設置されている。
この熱源システム自体は日立製作所が提供している。これは同社の「エネルギーサービス」を活用したもので、設備の建築、管理は日立製作所が行い、イオンは、ガス発電による電力に対し、月々使用料を支払うというシステムだ。これにより、イオンには建築コストを低く抑えることができるというメリットがある。
そのほか、夜間電力で氷を作成し、それを空調に利用する蓄熱槽も設置されており、蓄熱槽では、店内負荷の約40%の熱量を貯めることができるという。これら熱源システムの導入で、6500二酸化炭素トンの削減を行う。