お笑いタレントの木村祐一が長編初監督作となる映画『ニセ札』(ビターズ・エンド配給)の記者会見を16日、大阪市内で行った。

映画『ニセ札』で長編初監督に挑戦した木村祐一

同作は、昭和20年代に山梨県下で実際に起こったニセ札偽造事件を題材にしたオリジナルストーリー。山間の小さな村を舞台に、小学校の教頭(倍賞美津子)、元軍人(段田安則)ら偽造団のメンバーが、村を挙げてのニセ札作りに奔走する姿をユーモラスに描く。キャストは倍賞、段田のほか、村上淳、お笑いコンビ・インパルスの板倉俊之、NHK朝ドラ『ちりとてちん』で注目を浴びた青木崇高、監督の木村も偽造団のメンバーとして出演するなどバラエティー豊かな面々が顔を揃えている。

長編映画の監督に挑戦することになったきっかけを「映画のプロデューサーに『監督に向いてると思う』と言われて。僕もおだてに乗りやすいタイプなんで乗ってしまいました(笑)」と語る木村。実在したニセ札偽造団の話を聞いて「普段の生活をしながら、楽しくニセ札を作ってたんやろうな」というイメージがすぐに沸き、メガホンを取ることにしたとか。

そんな"キム兄目線"が存分に発揮された今作は、偽造団がなごやかに食事をしたり、ピクニックにまで出かけたりと、彼らが犯罪を犯していることを忘れてしまいそうなほど、大らかで楽しげなシーンが印象的だ。これについて木村は「普通はそんなシーンなんか入れないんでしょうけど、ベタッとした犯罪ものにしたくなかった。楽しくやってたんやろなっていう逆のリアルさを出したかったんです」とこだわりを明かし、作品の魅力をアピールしていた。

(C)「ニセ札」製作委員会

また、撮影中に起こったミラクルなエピソードも披露した木村。長い天気待ちの末にやっと始まった本番で、画面に映り込んでしまったスタッフに怒った木村だが、その直後、山道でなんと本物の千円札を拾い、機嫌を直したというのだ。「山の中になんで千円札? これはなにかのおぼしめしや! って喜んだ」というが、この話にはしっかりオチが。「後で聞いたらその千円、映り込んだスタッフが偶然落としたもんやったんです(笑)」と笑わせた木村は「映画の魅力を感じることができたし、本当に楽しい時間を過ごせました。またやらせてもらえるものなら今後も続けたい」と監督業に意欲を燃やしていた。

『ニセ札』は4月11日(土)より、東京・テアトル新宿、シネカノン有楽町、大阪・テアトル梅田、敷島シネポップ、京都・新京極シネラリーベ、神戸・三宮シネフェニックスほかにて公開。