総合マーケティングビジネスの富士経済は10日、食品業界の宅配市場に関する調査結果をまとめた報告書「食品デリバリー市場の実態と将来展望 2009」を発表した。調査は2008年12月~2009年2月の期間、オフィスや家庭向け宅配、および通信販売宅配企業を対象に同社調査員による面接取材を基本に実施され、電話ヒアリングや公的データ・文献調査などで補完が行われた。

報告書によると2008年の市場規模は2兆1,177億円で、2009年は前年比1.9%増の2兆1,588億円を見込んでいる。2009年見込みの各内訳は、家庭向け8タイプ合計が同1.9%増の1兆8,602億円、オフィス向け3タイプの合計は同0.9%増の894億円、通信販売3タイプの合計は同2.9%増の2,092億円。さらに詳細を見ると、家庭向けでは食の安全を脅かすような事件が最近続いたことから、無添加食品や有機野菜などを取り扱う「有機野菜・特別栽培野菜宅配」が伸張。オフィス向けでは、男性ビジネスマンの需要を獲得することに成功した「オフィス菓子サービス」が2009年見込み同19.6%増の61億円と数字を伸ばしている。

同報告書では注目市場の1つに「ネットスーパー」を挙げ、2009年の市場規模は2008年の227億円から25%増の284億円となると予測。ネットスーパーはインターネット環境が整うにつれて、量販店やCVSで手軽な注文形態として採用され対応店舗が拡大。また、参入各社が店舗単位でコスト管理を行う配送や、ピッキングシステムの構築を実現したことなどから市場が成長したという。2009年3月時点での業界トップはイトーヨーカ堂。現在92店舗で同サービスを実施し、最終的には全店でのサービス実施を図るとのこと。2位には西友、3位にはスーパーサンシが続いている。

このほかの注目市場として、ウォーターサーバーをオフィスや一般家庭に貸し出す「ウォーターサーバー宅配」が挙げられ、市場規模は2008年の458億円から19.9%増の549億円を予測している。