給付金で旅行はいかが―。5日から始まった定額給付金の支給。旅行会社や航空会社ででは早速、この給付金にあやかった旅行商品の売り込みに熱が入っている。キーワードは給付金にちなみ「1万2,000円」と「2万円」。3世代旅行や往復航空券付きなど、それぞれ特色あるプランで集客UPを狙っているようだ。
「定額給付金」は政府が景気対策の目玉とするもので、給付金額は1人あたり1万2,000円(18歳以下と65歳以上は2万円)。「税金の無駄遣い」との声もあったが、4日に総額2兆円の財源を確保するための法案が可決した。5日には一部自治体で支給が始まったが、ほとんどの市町村では4月中の支給開始になるとみられている。
この給付金決定のニュースにスピーディーな反応を見せたのが旅行会社。5日には早くも定額給付金にちなんだ旅行商品を発表する会社が相次いだ。「12月ごろから準備を進めていた」と話す旅行会社もあり、各社とも給付金決定を心待ちにしていたようだ。
例えば、JTBでは「12,000円ぽっきりプラン(エース宿泊プラン)」を27日にエースJTBから発売。那須、鬼怒川、伊香保、河口湖など、有名温泉地や観光地の28の宿泊施設が利用できる首都圏発の1泊2日のプランで、料金は大人1万2,000円、こどもが8,400円または6,000円。大人1人につき館内利用券1,000円分あるいはガソリン券1,000円分の特典もついており、「通常より2,000円から5,000円はお得になっているのでは」(同社広報部)とのこと。中部発のプランも13日から順次展開予定だ。
一方、給付金が加算される高齢者と子どもをターゲットにしたのが近畿日本ツーリスト。3世代旅行プラン「おじいちゃんとおばあちゃんといっしょに行こう」は、2ルーム使用プランと大部屋プランから部屋を選べ(4名以上の参加の場合)、年配向けの夕食を用意してくれる施設もあるという。「給付金は3世代旅行をするのにぴったり。これまでのアンケートで多かった『お互いの部屋が離れていた』といった不満にもこたえる内容になっています」(広報担当者)。発売は23日で、販売目標人数は5,000人と「これまでの企画のなかでもかなり多い」(同社)集客を見込んでいる。
一方、往復航空券付きの"給付金ツアー"は日本航空(JAL)。10日に同社のウェブサイト限定で往復航空券と1泊分の宿泊をセットした特別ツアーを発売する(既報参照)。東京発山形行きが1万2,000円から(大人1名料金)、東京発関西方面、大阪発東京・福岡行き、札幌発花巻行き、名古屋発仙台行き、福岡発大阪行きは2万円からで、ツアー出発日は4月1日から5月31日まで(ゴールデンウィーク期間を除く)。想定している販売数は5,000で、「昨年末から需要が冷え込んでいる。利幅は少ないがこれが需要回復の起爆剤になれば」(同社広報部)と期待は大きいようだ。
各社とも特色あるプランで客の呼び込みに力を入れているが、レストランや地域の商店街、レジャー施設にも同様の動きがみられ、"給付金争奪戦"のライバルは多い。給付金を貯金や生活費にまわす予定の人も多いとみられているが、旅行業界にとってはまたとないチャンス。どこまで受注数を伸ばせるか―。注目の「勝負」がいよいよ本格化する。