マイクロシステムテクノロジー社(以下、マイクロシステム)による新手のマルチ取引とみられる販売に対し、消費者からの相談が多数寄せられていた。今後、同様の手口が広がる恐れもあるとし、国民生活センターはこのほど、相談事例をWebページにて公表し、消費者に注意を呼びかけている。

2008年9月、マイクロシステムから万馬券購入補助ソフトを購入したという20歳代の男性から「友人から万馬券購入補助ソフトで儲かると勧誘され、断りきれず消費者金融から借金しソフトを購入した。実際は勧誘時のうまい話とは違い儲からないし、マルチ商法ではないと説明されたが友人は紹介料を得ていた。信用できなくなったので解約したい」という相談が同センターに寄せられたという。

また、同センターの運営する全国消費生活情報ネットワーク・システムPIO-NETには、2006年度から2008年度までの間に、マイクロシステムについての同様の相談が157件寄せられているとのこと。「支払の際には同社の誘導のもと、消費者金融から多額の借入をして契約をしているケースが多いとみられる」(同センター)としている。

同社の販売手口は、被勧誘者の知人などを介して被勧誘者へのアポイントをとり、訪問販売を行うとともに、販売勧誘組織を構築して販売勧誘を行うというもの。販売勧誘組織は、被勧誘者より以前に商品を購入した消費者によって組織され、被勧誘者の契約後に、紹介料として特定利益が得られることになっている。同販売手法は、特定商取引に関する法律(特商法)の定める「連鎖販売取引(マルチ商法)」に該当する可能性があるという。一方同社は、被勧誘者への特定利益についての説明を商品購入前ではなく購入後に行っており、そのため連鎖販売取引には当たらないと主張しているという。一方、経済産業省は、同社の販売手法について、「連鎖販売取引に加入させることを目的として、特定利益に関する説明を故意にソフト購入契約後に告知しているに過ぎない」とし、「(特商法に定める)連鎖販売取引に該当しうる」との見解を示している。

なお東京都は2008年11月18日、同社に対し、訪問販売上の不適切な取引行為を行っていたとして、3カ月の業務停止を命じており、現在同社は新たな販売業務は行っていない。