Ericsson基地局を利用する加入者1人あたりのCO2排出量。世代が進むと低くなっている(出典: Ericsson)

Ericssonが環境への取り組みを進めるにあたって、課題と感じていることは何だろうか?

Weidman氏はまず、指標を挙げる。「現在、企業は独自のやり方で測定して数値を発表しているが、標準的な指標はない」とWeidman氏。これでは、消費者は正しく一貫性のある情報を得られない。Ericssonは現在、ETSI、ECTAなどの標準化団体に呼びかけているという。

もうひとつが各国政府の対応のばらつきだ。中国や米国など一部の国は、温暖化防止のためのCO2排出量の目標に合意していない。「地球温暖化は人間が起こしたものということは、さまざまな調査から科学的に立証されている。コーヒーカップのリサイクルなどといっているレベルではない」とWeidman氏。「ICTを賢く活用することで、根本的に変えられる。2020年までに30 - 50%のオフセットも可能だ」と主張する。

Ericssonの環境への取り組みは先進的と評価が高い。この背景にあるのは何だろうか? Weidman氏は、「スウェーデンの文化」と分析する。「スウェーデンは一般的に、社会的環境的問題への意識が高い。これが企業文化に流れている」とWeidman氏。スウェーデンには、企業が排出量などを透明性のある形で公開する規制があり、製品の中に何が含まれているのかをオープンにしなければならない。「このようなオープンさ、文化は大きな要因だ」と言う。

これに加え、「Ericssonには、この分野のリーダーであり続けるという戦略的な理由がある」とWeidman氏。「製品の消費電力効率が高いほど、競争優位になる。他社と競争するにあたり、エネルギーで優れた製品を提供できれば、顧客は電力費用を削減でき、顧客の成功につながると考えている」と続ける。

環境への取り組み、製品開発、戦略を一体化させるEricsson。これは、大きな相乗効果を生みそうだ。