規制に先駆け自主的に対応

ガバナンスは、サプライチェーン向けの取り組みや規制への対応が主な活動となる。回収やリサイクルをはじめ、原材料に利用するのに有害とされている物質リストなど、世界の環境関連の規制を遵守するだけでなく、先駆けて対応するよう試みているという。

たとえばEricssonの本拠地である欧州では、電気/電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する指令「RoHS(Restriction of Hazardous Substances)」、化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則「REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)」、リサイクルでは電気/電子機器の廃棄に関する指令「WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment Directive)」があるが、Ericssonはこれらの指令が成立する前から先回りして対応したという。

有害物質については、10年以上前から利用を禁ずる有害物質リストをサプライチェーンで実装しており、社内でも環境/製品マネジメント専門の部隊を設置しているという。これにより、製品設計から製造まで包括的な対策が実現する。廃棄についても、規制がない国や地域でもグローバルに回収イニシアティブを敷いているとWeidman氏は説明する。

代替エネルギーへの取り組み

途上国向けには、単にICT技術を広めるというミッションだけではなく、固有の問題に対応するソリューションを提案している。たとえば、昨年の石油価格の激しい変動。エネルギー関連のOpex比率が高い途上国のオペレータは、大きな痛手を受けた。Ericssonは石油依存を緩和するために、風力や太陽など代替エネルギーを提案している。

インドのバイオマス(提供: Ericsson)

Weidman氏はウガンダとインドの例を紹介してくれた。ウガンダでは、現地オペレータと共同で、6時間おきに電池とディーゼルを利用するハイブリッド発電を開発、ディーゼルの消費量を50%に抑えることに成功した。これは大きなコスト削減につながったという。インドではバイオ燃料ソリューションを構築した。レストランで使われた料理用油を再利用するもので、23の基地局がこれを利用しているという。

これら代替エネルギー技術の中でも、Ericssonが現在注目しているのが太陽エネルギーだ。「原油価格の変動、無線機器の電力効率の改善をうけ、技術的にも経済的にも太陽エネルギーは適したソリューションと考えている」という。