"レジェンド・オブ・ギタリスト"エリック・クラプトンが、2月12日の大阪公演を皮切りに、2006年以来3年ぶりとなる18回目のジャパンツアーを行った。WOWOWでは、2月25日に東京・日本武道館で行われた東京公演の模様を3月15日(18:00~20:00)に放送。クラプトンの極上ライブを誌上レポートする。

2年振りに日本公演を行ったエリック・クラプトン

1963年のヤードバーズから、ジョン・メイオール・ブルース・ブレイカーズ、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク・アンド・ザ・ドミノス、そしてソロ活動と、常にロックシーンの最前線に立ち、ジェフ・ベックやジミー・ペイジと並び3大ギタリストと呼ばれて多くのミュージシャンに多大な影響を与え続けているエリック・クラプトン。2年ぶり18回目となる今回の日本公演では、東京と大阪で合計9公演を行い、各会場ソールドアウトとなるなど、大盛況のまま幕を閉じた。ロックの聖地、武道館での公演に限って言えば、今回の日本公演で実に77回を数えたクラプトン。洋楽のアーティストとしては2位のブライアン・アダムスの21回を大きく引き離している。また、今回の日本公演とは別に、2月21、22日にさいたまスーパーアリーナでジェフ・ベックと行った公演では、『世界初の共演ライブ』が実現して大きな話題を集めた。

前回の2006年11~12月に行われた日本ツアーでは、トリプル・ギター編成による強烈なライブを披露して日本のファンを沸かせたが、今回の日本公演では、前回の日本ツアーにも参加したドイル・ブラムホールII(ギタリスト)とともにダブル・ギターを編成。その他、クリス・ステイントン(キーボード)、ウィリー・ウィークス(ベース)、エイブ・ラボリエルJr(ドラム)、ミッシェル・ジョン、シャロン・ホワイト(ともにバックボーカル)がバックメンバーを務めた。そんな彼らとともに、約1万人もの観客を前にしてステージに上がったクラプトン。ジーパンに白いシャツというシンプルな服装で登場し、SEを流すこともなく、いきなりデレク・アンド・ザ・ドミノス時代の名曲『テル・ザ・トルゥース』を演奏して会場を沸かせた。

以降、『キー・トゥ・ザ・ハイウエイ』、『恋は悲しきもの』、『いとしのレイラ』(いずれもデレク・アンド・ザ・ドミノスの曲)、クリーム時代からカヴァーしているロバート・ジョンソンの名曲『クロスロード』、『ワンダフル・トゥナイト』、『コカイン』、『ランニング・オブ・フェイス』、『ビフォー・ユー・アキューズ・ミー』といったソロの名曲にボブ・マーリーの『アイ・ショット・ザ・シェリフ』や2007年7月のクロスロード・ギター・フェスティバルでも取り上げたジョージ・ハリスンの『イズント・イット・ア・ピティ』などを熱演。どの曲もファンにとってはたまらないナンバーばかりだ。特におススメしたいのが、ロバート・ジョンソンの名曲『リトル・クイーン・オブ・スペイド』。各メンバーがソロを繰り広げたブルースセッションは、圧巻の一言である。これこそブルースの真髄を体感できるナンバーだ。全世界で大ヒットを記録した『アンプラグド~アコースティック・クラプトン』に代表されるようなフォークサウンドも今回のツアーでは披露してくれた。

クラプトンは、今年の3月30日で64歳を迎える。円熟したギターワークも今回のツアーでは冴え渡り、ハスキーなボーカルも健在だった。クラプトンの代表曲でもある『ワンダフル・トゥナイト』や『いとしのレイラ』を生で観られたのも最高だったが、それ以外のブルースやR&Bのナンバーを奏でるクラプトンに、彼の真骨頂を感じずにはいられなかった。彼がブルースやR&Bを追求していることを、改めて思い知る。卓越したギターワークから奏でるブルースやR&Bのソウルフルな心の叫び。全てのロックファンに、是非とも彼のライブでそう言ったものを感じて頂きたい。

『独占放送! エリック・クラプトン ジャパンツアー2009』は、3月15日(18:00~20:00)にWOWOWで放送される。

撮影:ニシムラユタカ