ヨーロッパの人々の間には物を大切に使う文化が根付いている。携帯電話も新製品が出たからといってすぐには飛びつかず、古い機種を使い続ける人も多いようだ。そんな文化があるからなのか、スペイン・バルセロナにある格安携帯電話店舗が並ぶ「ケータイ通り」では、今では見かけないとても古い携帯電話が現役品として売られている。

昔の名機がずらりと並ぶ

今ではどんなに安い携帯電話にもカメラやカラー画面が搭載されているが、ほんの数年前まではどちらも珍しいものだった。30万画素のカメラを搭載しただけでも昔はハイスペックカメラ携帯と呼ばれた時代があったのだ。

ケータイ通りの格安携帯電話販売店では、そんなモノクロ・カメラ無しの古い機種から最新機種までさまざまな携帯電話が並んでいる。いずれも単体販売でメーカー保証は一切ない。もともとは通信事業者がSIMロックをかけ、プリペイドSIMカードと一緒に販売したものや固定契約を結んだときに安価に販売されたもので、それらのSIMロックを解除して販売しているのだ。そのため、どこの国の通信事業者のSIMカードを入れても使うことができる。当然、購入した端末のネットワーク対応エリアでSIMカードが国際ローミング契約されている場合であれば、NTTドコモのFOMAカードやソフトバンクモバイルのUSIMカードの利用も可能だ。価格は安いものならば10ユーロ程度、1,500円くらいから購入できる。ここまで安ければ現地のプリペイドSIMカードを入れて、”使い捨てケータイ”として使うのもいいかもしれない。

格安携帯が売られているというエリア。治安はあまりよくないので夜の訪問は避けたほうがよい

古い機種が今でも売られている理由

ケータイ通りでは、なぜこんな古い端末が今でも新品販売されているのだろうか。ここで売られている携帯電話はおそらく、元々プリペイド用としてどこかの代理店などが大量に仕入れたものなのだと考えられる。お店の倉庫の奥に眠っていたものが発掘されたり、会計上資産価値の無いものとして処分されたものが、「単体としてならまだまだ売れる」ということでこうして出回っているのだろう。

いずれの古い端末も事業者のロゴが本体にはいっているあたりからも、前述したルートから流れたものが売られていると考えられる。なかにはバッテリーが弱っているものもあるので、新品というよりはデッドストック品と考えたほうがよいだろう。まぁいまどき見つけることも難しい製品なので、購入の際は値段相応のものとして考えたほうがよさそうだ。

さてケータイ通りでは、どんな古い携帯電話が売られているのか。20店舗以上のお店が並ぶケータイ通りで見かけたいにしえの携帯たちを紹介しよう。今となってはスペックが低いだけのビンテージ品だが、「名機」と呼ぶにふさわしい優れたデザインの端末もいくつかある。スペックや機種名はあえて書かないので、もしも興味が沸いた場合は各自調べてほしい。

最新機種も売られているが、見たこともないような古い機種もずらりと並んでいる。しかも値段に注目。とにかく安い!

今は無きSiemensの名機たち。この丸みを帯びたストレート形状がSiemensの代名詞だった

LGの初期のカラーモデルか。スライドするとディスプレイ表示エリアが広がるのが特徴だった

Samsungの初代W-CDMA端末。UMTSの表記が懐かしい

Siemensの防水携帯など。同社のハイエンドモデルは角のあるかっちりしたスタイルが多かった

MotorolaのVodafone専用3Gモデル。昔のMotorola折り畳みスタイルを継承するデザイン

これはなんとSharp端末。Vodafone向けのマクラーレン限定モデルだ。壁紙やら着信音などすべてがマクラーレン仕様になっている

これまたSiemens。S60をOSに採用したスマートフォンだが、Nokiaとは違うデザインがいい感じだ。しかしSiemensの製品が多いということは、ヨーロッパではメジャーなメーカーであったということの証明でもある。なお左のMotorola Qは結構新しい製品

これは日本でも一時期販売されたことがあるので知っている人がいるかもしれない。Nokiaのアウトドア端末で、スケルトン模様のラバーボディーが特徴だった